“熟練作業者の目”を再現 中堅製造業向けの状況認識AI「メニナルAI」とは何か製造現場向けAI技術(1/2 ページ)

ソフトクリエイトは、中堅製造業の技術継承をサポートするAI認識サービス「メニナルAI」を発表した。

» 2026年02月13日 06時30分 公開
[坪田澪樹MONOist]

 ソフトクリエイトは2026年2月3日、東京都内で記者会見を開き、中堅製造業の技術継承をサポートするAI(人工知能)認識サービス「メニナルAI」を発表した。2月中旬から提供を開始し、パッケージ形式でライセンスを供与する。

ソフトクリエイトの鈴木大智氏

 製造業におけるAI活用の実態について、ソフトクリエイト 上席執行役員 企画統括部 統括部長の鈴木大智氏は「2025年3月に製造業に従事している2500人を対象にした『製造業界におけるAIの利用実態について』というアンケートを実施した。『AIを利活用できているか、どう進んでいるのか』という質問に関しては、『AIが組み込まれた製品を導入している』の回答が約6%、『自社開発したAIシステムを活用できている』の回答が約5%となり、AIの利活用はまだまだ進んでいないとわれわれは捉えている。AIの利活用が進まない理由については、リテラシーや導入コスト、社内運用、セキュリティなどのさまざまな課題を顧客が抱えているためである」と分析する。

アンケート結果について[クリックして拡大] 出所:ソフトクリエイト

 これらのアンケート結果を踏まえて、同社は製造業における技術継承の課題に着目し、この問題を解決するための新たなソリューションとしてメニナルAIの提供を決めた。同AIは熟練技術者が現場で発揮してきた“工程全体を見渡し、流れや文脈を踏まえた判断力”についてAIを活用して再現し、熟練者の目となって現場をサポートする自律型のAIである。静止画/動画/センサーデータといった複数の情報を時系列で統合し、現場で「いま何が起きているのか」を理解し、従来のAIでは難しかった工程文脈の把握や判断の補完を可能にする。

メニナルAIのコンセプト[クリックして拡大] 出所:ソフトクリエイト

 メニナルAIを用いた幾つかの検証も実施している。300以上の細かな工程で構成される現場の手作業に対して同AIを活用した事例では、工程の状況を可視化して画像認識で部材や動きを捉えてセンサー情報と組み合わせることで、工程の前後関係を自動で判定した。これにより、生産効率と品質の安定化に寄与することを確認した。

生産工程の可視化事例の詳細[クリックして拡大] 出所:ソフトクリエイト

 また、人手では見逃しやすく、金属の反射などで従来の画像認識AIでは困難だった部品の嵌合(かんごう)状態の検品に同AIを用いた事例では、AIが自動で画像に最適な補正を施すことで、悪条件下でも安定した認識を実現。99.9%という高精度での不良品検出を達成したという。

検品作業の改善事例[クリックして拡大] 出所:ソフトクリエイト
ソフトクリエイトの畠山覚氏

 メニナルAIの学習の進め方としては、まず静止画や動画から画像を取得し、センサーなどから取得した情報も合わせつつ画像の集合データにタグ付けを行う。次にタグの発生順序を指定し「工程A」を定義する。その後、実際に静止画/動画データを入力すると自動的にタグが分類され、タグの時間順序からどの工程なのかを認識し、実際に何が起きているのかを把握する。

 ソフトクリエイト 事業推進本部 製品開発部 部長の畠山覚氏は「例えば“チョキ”“チョキ”“グー”を工程Aとして定義し、その後工程を動画で撮影して“チョキ”“グー”“チョキ”の順番で物事が発生した場合は、普通のAIだと『この状態は工程Aと違う』と判断してしまう。しかし、メニナルAIではこの状態から『手前側にもう1つ“チョキ”が来れば事前に定義した工程Aになるのではないか』と推論する。これにより、工程Aの途中から撮影したものとAIが推論し、『一部NG』と判断する。このように結論から前後関係を含めた認識ができる」と語る。

メニナルAIの判定事例[クリックして拡大] 出所:ソフトクリエイト

 メニナルAIを開発する上で構築した連続している事象の時間幅を自動的に最適化する仕組みやフィルターの仕組みについては、特許技術として出願している。「現実での時系列パターンの認識は数学的に前後関係の相関を出さないといけないが、われわれのAIを活用することで全く独立した事象として扱うことができる」(畠山氏)。

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