MONOist Made by ZOZOと、かつて手掛けていたPB事業のようなオーダーメイドとの違いは何ですか。
松藤氏 まずMade by ZOZOではオーダーメイドは行っていない。オーダーメイドスーツのような刺しゅうやサイズ調整をユーザーに提供するものではない。これまでZOZOTOWNでは、ユーザーがほしいと思った商品が完売で購入できない、買い逃しが発生することは避けられなかった。Made by ZOZOのユーザーにとっての価値は、この買い逃しが起こらないところにある。
アパレル業界全体のサプライチェーンでは、企画した商品を市場投入する半年前から見込み生産を行うのが一般的だった。このやり方では、ユーザーの買い逃しやブランド側の過剰生産、どちらも起こり得てしまう。こういったムダがなくなれば、他の産業と同様にアパレル業界も求められているサステナビリティにもつなげられる。Made by ZOZOはその一助になるはずだ。
MONOist ZOZOの主な事業はZOZOTOWNの運営であり、工場は持っていません。Made by ZOZOの生産を担うパートナー工場とはどのように連携しているのでしょうか。
松藤氏 日本国内で仕様設計したシステムをZOZOの中国子会社で最適化した上で、中国のパートナー工場とともにシステム導入を二人三脚で進めてきた。当社がPB事業で服作りにチャレンジしたときに蓄積したノウハウ、育成した人材がMade by ZOZOの仕組み作りに息づいている。
MONOist Made by ZOZOでは、PB事業の経験をどのように反映しているのでしょうか。
松藤氏 PB事業では本当に学ぶことが多かった。特に、商品をほしいときにほしいだけ作れないことは、PB事業を進める上での大きな課題になった。ただし、デジタル化のメリットとして、アナログベースのコミュニケーションにかかるコストを下げられること、リードタイムを短くできることなどを確認できたので、チャレンジしたことは間違っていないと考えている。あの時に生産の領域に踏み込んだからこそ、Made by ZOZOの開発につなげられた今がある。
PB事業で分かったことは、ZOZO自身はファッションブランドではないということだった。そこはファッションブランドに任せて、ZOZOはブランド側に足りないデジタルな仕組み提供し生産支援を行うべきと考えた。それがMade by ZOZOだ。
MONOist 今回のMade by ZOZOは、経営戦略に掲げる3本柱の一つである「生産支援に踏み込む」に関わる施策です。今後も生産支援のための施策を拡大する計画はありますか。
松藤氏 まずはMade by ZOZOに集中していきたい。発表時点ではMade by ZOZOを採用したブランドとして、info.BEAUTY&YOUTH、nano・universe、SHIPSの3ブランドの名前を挙げさせていただいたが、ここを起点に縦横に導入を広げていく。そして、ZOZOに任せてよかったと思ってもらえるようなクオリティーを実証していきたい。
2022年9月1日にサービスが始まって間もないが期待の声は大きい。やはり1着から受注生産できることへの評価は高く、手応えも感じている。あくまで生産支援の仕組みとして、ファッションブランドが成長していくことを支えていく。
現時点でカスタマイズには対応していないが、何らかの形で実現したいとは考えている。今後検討を進めていきたい。実は、Made by ZOZOのメリットとして、SMLの3サイズにとどまらないマルチサイズ展開が可能な点がある。BeAMS DOTのように、5サイズ×3レングスで15種類展開している事例もある。
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