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» 2022年10月06日 07時30分 公開

モノからコトへ、NTNが目指す“軸受を見守る”サービス事業の拡大製造業がサービス業となる日(1/2 ページ)

NTNは2022年9月28日、「しゃべる軸受」や風力発電装置向け状態監視システム、軸受診断アプリなど、さまざまな事業で展開しているサービスビジネスの動向について説明した。

[三島一孝MONOist]

 あらゆるモノがIoT(モノのインターネット)化することにより、モノ売りだけではなく付随する価値をコト売りするサービスビジネス化が進んでいる。こうした流れの中、NTNは2022年9月28日、「しゃべる軸受」や風力発電装置向け状態監視システム、ポータブル異常検知装置、軸受診断アプリなど、同社がさまざまな事業で展開しているサービスビジネスの動向について説明した。

軸受そのものでは難しい顧客課題をサービスで解決

 NTNは1918年に創業し「なめらかな社会の実現を目指す」という企業理念の下、ベアリング製品を中心に展開してきた。特に自動車向けでは、ハブベアリングやドライブシャフトなど、世界的にも大きなシェアを獲得している。これらの製品の普及を軸に新たに6つのターゲット分野を設定している。次世代モビリティモジュール、ロボット周辺モジュール、再生可能エネルギー関連、水素関連、ライフサイエンス関連などと並んで、重点分野に位置付けているのがサービス/ソリューションである。

 サービス/ソリューション事業の展開ついては、軸受製品を展開する中で、軸受そのものでは解決できない、顧客の課題に直面したためだという。例えば、大型風力発電分野では、計画的な保全を行いたいとするニーズがあったり、工場などの産業分野では突然装置を止めたくないとするニーズがあったりした。そこで、NTNだから実現できるサービス/ソリューション分野として、センサー技術やデジタル技術を組み合わせることで「機械トラブルの未然防止」「工場や設備のダウンタイム防止」「軸受の安定稼働」「稼働状態のモニタリング」などの実現を目指している。

風力発電装置の遠隔監視を実現

 NTNのサービス/ソリューション分野の内、いち早く市場投入を果たし、既に多くの実績があるのが、風力発電装置向け状態監視システム「Wind Doctor」である。これは、風力発電システムのナセル内のドライブトレイン(主軸、増速機、発電機)にセンサーを設置し、収集、蓄積した振動データなどから軸受や歯車の異常を早期に検知するシステムである。

 再生可能エネルギーに大きな関心が集まる中、海上に設置する洋上風力発電システムも今後日本で数多く導入される見込みだ。従来、風力発電システムのメンテナンスは人が登り直接確認することで行ってきたが、熟練技能者が減少する中で、これらのメンテナンスの負荷が高まってきていた。そこで、2012年にセンサーとそのデータ収集装置を組み合わせたWind Doctorの展開を開始。「最初はほとんど売れなかったが、2017〜2018年ごろから販売が急拡大した」(担当者)。国内累計で約300件の実績につながっているという。

 ポイントは、小型化と耐環境性を両立したデータ収集装置である点で、既存の風力発電設備でも後付けで容易に設置可能だ。また多様な信号入力に対応し、17chの同時計測が可能だ。振動や回転以外にも変位や音声などの入力も行える。さらに、自動アラート機能などのような速報機能や、軸受メーカーの知見を生かしたデータ解析や診断なども提供する。2022年5月にはメンテナンス会社である北拓と業務提携し、状態監視から補修軸受の供給、メンテナンスまでワンストップで提供できる体制を構築したという。「現状は軸受に関するドライブトレインの監視が中心だが、今後はその周辺部分まで適用できる範囲を拡張していきたい」(担当者)としている。

photo Wind Doctorのシステム構成イメージ[クリックで拡大] 出所:NTN
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