今回のGTCでは、組み込み機器、産業機器/医療機器、自動運転車向けの新製品も発表された。
組み込み機器向けでは、「Jetson Nano」に替わるエントリークラス製品として、最新世代の「Jetson AGX Orin」などと同じAmpereアーキテクチャを採用した「Jetson Orin Nano」を発表した。AI処理性能は前モデルのJetson Nanoと比べて80倍となる40TOPS(1TOPSは毎秒1兆回の演算性能)を達成している。
Jetson Orin Nanoはメモリ容量が8GBと4GBの2品種がある。8GBモデルはAI処理性能40TOPS/消費電力7〜15W、4GBモデルはAI処理性能20TOPS/消費電力5〜10Wとなっている。2023年1月の発売予定で、価格は199米ドルから。
産業機器/医療機器向けでは、新たなプラットフォームとなる「NVIDIA IGX(以下、IGX)」を投入する。Jetson AGX Orinを核としながら、機能安全やセキュリティ、長期サポートといった産業機器/医療機器に求められる要件に対応している。また、ネットワークインタフェースカード(NIC)として最新の「NVIDIA ConnectX-7」に準拠しており、より低遅延のシステム連携などが可能だ。10年をうたう長期サポートは、ハードウェアだけでなくエッジAIなどに用いられるソフトウェア開発環境も対応している。IGXの開発者キットは、2023年上期に入手可能になる予定である。
自動運転車向けでは、2021年4月に次世代製品として発表した「Atlan」からさらに性能を倍増させた「DRIVE Thor(以下、Thor)」を発表した。Thorは、Hopperアーキテクチャで採用した第2世代のマルチインスタンスGPUと、サーバ向けのCPU製品として投入予定の「Grace」、そして今回発表したAda Lovelaceアーキテクチャを組み合わせることで2000TFLOPSものAI処理性能を実現している。1つのGPUを最大で7つの独立したGPUに分離して扱えるマルチインスタンスGPUの機能を活用することで、複数の車載システムの統合制御にも対応する。2025年には、中国のEVメーカーであるZEEKRがThorを採用した新型車の量産を始めるという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.