パナソニックは、三陽商会が国内展開する欧州発のサステナブルファッションブランド「ECOALF」と共同で、植物由来の高濃度セルロースファイバー(CeF)成形材料「kinari」を活用した副資材の開発や、回収した廃棄物からの再生プロジェクトなどに取り組んでいる。「渋谷スクランブルスクエア」にオープンしたECOALFの新店舗では、kinariを活用した製品などを実際に購入できる。
パナソニックは、総合ファッションアパレル企業である三陽商会が2020年3月から日本での展開を開始している欧州発のサステナブルファッションブランド「ECOALF(エコアルフ)」と共同で、パナソニックの植物由来の高濃度セルロースファイバー(CeF:Cellulose Fiber)成形材料「kinari(キナリ)」を活用した副資材の開発や、回収した廃棄物からの再生プロジェクトなどに取り組んでいる。
三陽商会が2022年9月17日に、渋谷駅直結の複合施設「渋谷スクランブルスクエア」(7階)に新規オープンしたECOALFの店舗では、両社のコラボレーションの取り組みとして、kinariを活用したタンブラー(新色展開)や、kinariを用いて作られたボタンやスピンドルストッパー(ひも止め)を使った衣類が販売される他、木製の廃棄ハンガーをkinariの技術で新たなハンガーによみがえらせたプロジェクトの成果物についても店舗内で展示利用されている。
また、パナソニックグループが同社のパーパスである「幸せの、チカラに。」を伝えるコマーシャルの撮影で用いた大量の生花を、廃棄せずに染料として用い、ECOALFのサステナブルマテリアル(オーガニックコットンとリサイクルコットンをブレンドした素材)で作ったTシャツを手染めした「フラワーTシャツ」も販売している。なお、フラワーTシャツには“BECAUSE THERE IS NO PLANET B(第2の地球はないのだから)”というECOALFのブランドスローガンがあしらわれており、アップサイクルや循環のイメージを想起させるタイポグラフィのデザインは、パナソニックグループからの提案で実現したものだという。
2022年9月15日には新店舗のオープンに先駆け、内覧会も実施された。店舗前のスペースではECOALFのコンセプトや、両社のコラボレーションによる成果物も展示されていた。
ECOALFは、取り扱う全てのアイテムを再生素材や環境負荷の低い天然素材のみで製造、販売する、2009年にスペインで誕生したサステナブルファッションブランドである。ブランド自らが海のゴミを収集して製品づくりにつなげるという新しい発想のブランドで、日本では三陽商会が2020年3月からブランド展開をしている。
kinariを用いたコラボレーションのきっかけについて、三陽商会 事業本部 コーポレートブランドビジネス部 エコアルフ課長の下川雅敏氏は、パナソニックとアサヒビールとの高濃度CeF成形材料を活用した業務提携、共創から生まれた「森のタンブラー」がきっかけとなり、「アパレルとのコラボレーションでもkinariが使えないかと考えた。アパレル業界でもサステナブルな取り組みは盛んに行われているが、その多くが表地(ファブリック)の方に関心が向いている。そこだけではなく、非常に多く使われているボタンなどの樹脂成形品、副資材に対しても環境への配慮が必要であり、kinariで何か表現できないかということでコラボレーションするに至った」と説明する。
また、アパレル業界は在庫品の廃棄の問題や、店舗/展示会などの運営における廃棄物が多いことでも知られており、廃棄物を回収し製品に再利用していく新たな循環の仕組みが求められているという。三陽商会の各ブランドで廃棄された木製ハンガーを回収し、kinariの技術で再生したハンガーは、こうした新たな循環のカタチを具現化した取り組みの1つであり、今後も両社は、環境問題の解決に向けた活動や新たな循環の創出に向けた模索を続けていくとしている。
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