加湿器大手のダイニチ工業が空気清浄機に再参入、なぜ加湿機能を付けないのかイノベーションのレシピ(2/2 ページ)

» 2022年09月09日 08時00分 公開
[朴尚洙MONOist]
前のページへ 1|2       

ハイブリッド式だから大風量を確保できる

 ハイブリッド式の空気清浄機能は、静電NEOHフィルターによるフィルター式とプラズマユニットによる電気集じん式で構成される。静電NEOHフィルターは、風が通りやすく静音性に優れた不織布フィルターであり、プラズマユニットも金属板の間隔が広く、風が通りやすい構造になっている。単一方式で空気清浄機能を実現する場合、フィルターの目が細かくなったり、プラズマユニットの金属板の間隔が狭くなったりして、風が通りやすくならず大風量を確保できない。

ハイブリッド式空気清浄機能の概要 ハイブリッド式空気清浄機能の概要。フィルター式と電気集じん式を組み合わせた[クリックで拡大] 出所:ダイニチ工業
プラズマユニット(左)と静電NEOHフィルター(右) プラズマユニット(左)と静電NEOHフィルター(右)[クリックで拡大]

 また、ハイブリッド式では、帯電させることで汚れ微粒子がフィルターに付着しやすくなり、単一方式と遜色なくしっかりと汚れを取るというメリットもある。さらに、ウイルスよりも小さい直径0.03μmの浮遊微粒子を捕集できる性能も確認している。静電NEOHフィルターとプラズマユニットが一体になっている構造を利用して、プラズマ放電により発生した低濃度オゾンでユニットとフィルターのウイルスを抑制する機能「NEOHリフレッシュ」も利用できる。

ウイルスの活動を抑制する「NEOHリフレッシュ」 ウイルスの活動を抑制する「NEOHリフレッシュ」[クリックで拡大] 出所:ダイニチ工業

 2つ目の特徴の「カンタンお手入れ」では、ハイブリッド式の空気清浄機能の前段に設置している、大きなほこりや髪の毛などを捕集するプレフィルターが大きな役割を果たしている。空気清浄機の汚れの約75%はプレフィルターで捕集されるため、手入れの大部分をプレフィルターが占めている。CL-HB922では「カンタン取替えプレフィルター」を用いて、汚れに触れることなくプレフィルターを捨てられ、新しいプレフィルターも簡単にセットできる構造とした。交換の目安は4カ月に1回だ。

「カンタンお手入れ」の概要 「カンタンお手入れ」の概要[クリックで拡大] 出所:ダイニチ工業

 また、ハイブリッド式の空気清浄機能を構成する静電NEOHフィルターの交換、プラズマユニットの洗浄、空気清浄機能の後段に設置する活性炭脱臭フィルターの交換は、2年に1回で済むようになっている。

 3つ目の特徴の「静かな運転音」は、風の流れを妨げないタワー構造に加えて、大風量で素早く空気清浄を行った後、15dBと静かな弱運転モードで長時間を動作させる運転構成によって実現した。騒音や振動の原因となるターボファンについても、振動音を抑える特許出願中の技術を開発して対応している。

⇒その他の「イノベーションのレシピ」の記事はこちら

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.