狙われるOTシステム、戦争を機にサイバー攻撃が活発化:産業制御システムのセキュリティ(2/2 ページ)
レポートでは推奨事項として、データのバックアップを取ることが重要とした他、サイバー脅威インテリジェンスの推進や、事業者および自社内のクラウドセキュリティの強化などを挙げた。2022年の下半期は産業制御システムへの攻撃の巧妙化や、機密性の高いデータを持つ大企業への攻撃増加などを予測した。
村田氏はOTセキュリティを巡る各国の状況について「どの国でもOTセキュリティとして対策を打つ原動力になっているのは政府のガイドライン、レギュレーションであるのは共通だが、諸外国の方が日本より1年半から2年は導入が早い印象がある」と述べた。目下、経済産業省の主導で「工場セキュリティガイドライン」の策定が進んでおり、村田氏は「今後、製造業各社の関心がより高まってくるのでは」と期待した。
同社 日本担当カントリーマネージャーの芦矢氏 出所:Nozomi Networks
Nozomi Networks 日本担当カントリーマネージャーの芦矢悠司氏はOTセキュリティについて「日本は専任役員などを設けてDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進する動きがある中で、製造業ではこれまでITとOTは別の管理だったのが、DXによってその垣根をなくそうという流れが出ている。DX観点からのセキュリティへの問い合わせが増えている」と語った。
レポートで挙げられた推奨事項[クリックして拡大]出所:Nozomi Networks
2022年下半期の予測[クリックして拡大]出所:Nozomi Networks
⇒その他の「産業制御システムのセキュリテイ」の記事はこちら
- スマート工場の約半分がサイバー攻撃で生産停止、その内4割以上が4日以上止まる
トレンドマイクロは2021年4月23日、日本、米国、ドイツの3カ国を対象とする「スマートファクトリーにおけるセキュリティの実態調査」の結果を発表した。本稿ではその内容を紹介する。
- スマート工場で見逃されている2大侵入ポイントとは?
スマート工場化が加速する一方で高まっているのがサイバー攻撃のリスクである。本連載ではトレンドマイクロがまとめた工場のスマート化に伴う新たなセキュリティリスクについての実証実験研究の結果を基に注意すべきセキュリティリスクを考察する。第1回では、工場の「スマート化」とは何かを定義するとともに、そこから見えたスマート工場特有の侵入経路について解説する。
- 工場のネットワークセキュリティ対策とは?
インダストリー4.0や工場向けIoTなどに注目が集まっていますが、そもそも工場内のネットワーク環境は、どのように構築すべきなのでしょうか。本連載では、産業用イーサネットの導入に当たり、その基礎から設備設計の留意点などを含めて解説していきます。第5回では、工場のネットワークセキュリティ対策について解説します。
- 制御システムセキュリティの現在とこれから
制御システム技術者が知っておくべき「セキュリティの基礎知識」を分かりやすく紹介する本連載。最終回となる今回は、今までに述べてきた制御システムセキュリティの基礎的な考え方をまとめた上で、これから制御システムセキュリティの分野がどうなっていくのかについての考えを紹介する。
- PLCが人質に取られて脅迫される時代へ、IoTがもたらす産業機器の危機
JPCERT コーディネーションセンターと経済産業省は「制御システムセキュリティカンファレンス」を開催。高度化が進む、制御システムへの攻撃の事例を紹介した。
- 発電所や工場をサイバー攻撃から守れ、必要なのはOTとITの融和、経営陣の理解
MONOistとスマートジャパンが「IoT/制御システムセキュリテイセミナー」を開催。ネットワーク接続が当たり前になりIoTの利活用が進む中で、発電所などの重要インフラや工場などの産業制御システムセキュリティにどのような課題があるか、どのような対策が取り得るかについて、講演やセッションを通じて紹介した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.