Excelの操作も、奥が深く、操作によって差が大きく出ます。その中で、便利なショートカットキーを以下に挙げます。
Excelでセル選択を素早くできると便利です。例えば、図9に示す例から考えます。
図9は、今回使用する画面のキャプチャーです。例えば、ここの赤枠を選択しようとする場合、マウスで選択する方法もありますが、セルが数千、数万となると少し時間がかかりますね。その場合は、「Ctrl+Shift+↓ or ↑」を知っておくと歯抜けのデータがなければ一発で最終行まで選択できます。
図10は、ショートカットキーの使用例です。このように、最初にA1セルを選択しておき、「Ctrl+Shift+↓」とすることで、A8セルまで一発で選択できます。
少し前の話ですが、小売店のパート従業員さんのExcel作業を見ていたところ、数千ある商品データをマウスのドラッグ操作で選択しようとしていました。この操作では、全選択するまでひたすら選択が必要で、効率は最悪ですね。しかも、コピーのミスも発生します。この場合、ショートカットキーを知っておくと、素早くミスなく選択可能です。
Excelで作業していると、日付や時刻を手作業で入力することがあります。例えば、試験データを記録する際、日付、時刻を記録しておくと、後々、データが見やすくなりますね。
図11は、Excelによる日付の入力例です。Excelでは、現在の日時(「Ctrl+;」)と時刻(「Ctrl+:」)は、ショートカットキーで自動的に入力できます。
実は、数年前まで筆者も手入力で現在の日付と時刻を入力していました。ある時、誰かに「現在の日付ならショートカットキーで一発ですよ」と教えてもらい、なんて無駄な時間を使ってきたのだろうと落胆しました。
今回は、前回に引き続き、「使用機器を使いこなす」というところに着目し、便利なショートカットキーを紹介しました。主要な操作にはショートカットキーが割り当てられていますので、「何か面倒だな」と思ったものは、「○○ ショートカットキー」と検索をかけると大抵見つかります。
ショートカットキーによる改善効果は、年利0.01%の定期預金レベルでしょう。ですが、他の効率化と比べて簡単に実施でき、効率向上を常に意識できるという大きなメリットがあります。これが「塵を集めて山にする」の第一歩となります。塵が集まると、「複利効果」により、急激に投資効果が上がります。アインシュタインは「投資における複利効果は人類が発明した最も素晴らしい技術である」と言っています。
「使用機器を使いこなす」という観点から、最もよく使うPCを使いこなして、「技術における複利効果」を味方につけ、日々の作業をより効率的に進めましょう。
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東海大学 大学院 組込み技術研究科 非常勤講師(工学博士)
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