ヤンマーアグリジャパンとヤンマーグリーンシステムは、「施設園芸・植物工場展2022(GPEC)」において、稲作農家向けのトマト栽培ソリューションや、イチゴを年2作収穫できる断熱送風栽培層などを展示した。
ヤンマーアグリジャパンとヤンマーグリーンシステムは、「施設園芸・植物工場展2022(GPEC)」(2022年7月20〜22日、東京ビッグサイト)において、稲作農家向けのトマト栽培ソリューションや、イチゴを年2作収穫できる断熱送風栽培層などを展示した。
ヤンマーグリーンシステムは2019年に、トマトを大規模に栽培する専業農家向けに、高い糖度を持つトマトの栽培を可能にする自然給水栽培装置「NSP」を発売した。NSPは、日々の天候変化に合わせてトマトが必要とする給水量を自然に供給する仕組みを取り入れており、熟練者でなくても安定して高品質なトマトの栽培が可能になることを特徴としている。水や液体肥料の使用量も半減できるなどの効果も得られる。
ただし既存のNSPは、自然給水を行う上で必要な樹脂製貯水槽内の水位を維持するために水位センサーと制御盤が必要になる。「トマトの大規模栽培を行う農家であれば、新たにトマト用のハウスを組んでNSPに必要なシステムや電源などを用意できる。しかし、NSPを展開する中で、稲作農家が稲の苗の生育に用いているパイプハウスを転用してトマトを栽培する際に活用したいが、現状のNSPの仕組みではコストや電源容量なども含めて導入が難しいという課題があった」(ヤンマーグリーンシステムの説明員)。
そこで、トマトの小規模栽培や既存のパイプハウスを転用する用途に向けて、コストを抑えつつ追加の電源などが不要になる新たなNSPを開発した。現行の大規模、専業向けを「NS-1」とし、新たな小規模、転用向けは「NS-2」として2022年から展開を始めている。
NS-2では、貯水槽を樹脂製から発泡素材製に替えることで設置や撤去を容易にした。貯水槽内の水位を維持する仕組みは、水位センサーに替えて電力が不要なボールタップを採用した。「いろいろと試行錯誤した結果、ボールタップでいけることが分かった。培養液タンクから貯水槽への供給を行うのにポンプが必要だが、それくらいであれば稲の苗栽培用のパイプハウスで用意されている電源で十分動作させられる」(同説明員)。
なお、NSPは「ストレス栽培」と呼ばれる手法で高い糖度のトマトを生育できることが特徴だがアナログな仕組みのNS-2でも可能だ。展示では、NS-2を先行導入した農家が栽培したトマトをライン式簡易選果システムのデモンストレーションに適用しており、平均糖度は7.8を達成している。「トマトの茎が成長して高い位置に実が成るとより糖度が上がる。平均糖度7.8のトマトはまだ低い位置で実が成ったものであり、秋までにはより甘いトマトの生育が期待できるだろう」(同説明員)という。
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