このように、長年、保健医療データ利活用のための技術的対策の導入が行われてきた英国では、コロナ禍を契機に、制度的仕組みの改革に向けた動きも本格化している。
例えば、DHSCは2021年11月23日、「NHS変革の心臓部におけるデータ、デジタル、技術の配置」と題する独立レビュー報告書を公表した(関連情報)。DHSCは、NHSイングランド&NHSインプルーブメント(NHSEI)、NHSX(X)、NHSデジタル(D)などから構成される国民保健サービス(NHS)が、幅広い医療システムの変革を先導し、よりよい市民の保健医療を提供する統合ケアシステム(ICS)を支援することを目的としてレビューを実施しており、その結果をとりまとめたものが今回の報告書である。
本報告書では、表1に示す通り、改善の余地がある6つの課題領域を挙げている。
そして、上記の6つの課題解決に向けて、表2に示す通り、9つの提言をとりまとめている。
なお、DHSCは、本報告書公表前日の2021年11月22日、NHSXとNHSデジタルを、NHSイングランド&NHSインプルーブメント(NHSEI)に新設される変革局(Transformation Directorate)に統合する方針を表明している(関連情報)。これにより、NHSEI傘下にあるサイバーセキュリティプログラムや、NHSデジタル傘下のデータセキュリティセンター(DSC)、NHSX傘下のサイバーセキュリティチームも再編される見通しである。
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