AUTOSAR CP入門(その2)インタフェースの切り方次第で再利用性も変わる?AUTOSARを使いこなす(25)(1/5 ページ)

車載ソフトウェアを扱う上で既に必要不可欠なものとなっているAUTOSAR。このAUTOSARを「使いこなす」にはどうすればいいのだろうか。連載第25回は、「AUTOSAR CP入門」のその2として「処理の中身(ふるまい)の実現」をについて取り上げる

» 2022年07月12日 07時00分 公開
[櫻井剛MONOist]

前回のおさらい

 前回から、「スケジューラは分かるが、リアルタイムOS(RTOS)はいまひとつ」という皆さんに向けてのAUTOSAR CP(Classic Platform)入門を、おおよそ以下の構成でスタートしています。

  1. 処理の起動
  2. 処理の中身(ふるまい)の実現
  3. SW-Cとその他の要素(RTE、BSW、HW)とのインテグレーション
  4. 従来と同じことしかできないの?(いいえ、違います!)

⇒連載「AUTOSARを使いこなす」バックナンバー

 この新たなAUTOSAR CP入門の第1弾となる前回は、以下のような内容を取り上げました。

  • 1.処理の起動
    • 1.1 トリガーの受け取りと、トリガーに対応した処理の起動
      • 1.1.1 スケジューラ方式の場合
      • 1.1.2 RTOSを使用する場合
      • 1.1.3 AUTOSAR RTEを使用する場合
    • 1.2 トリガーの生成
      • 1.2.1 スケジューラ方式の場合
      • 1.2.2 RTOSを使用する場合
      • 1.2.3 AUTOSAR RTEを使用する場合

 要約するとこんなところでしょうか。

  • アプリケーション、つまり、AUTOSARのソフトウェアアーキテクチャ(図1)でのApplication Layerに含まれる各種ソフトウェアコンポーネント(SW-C)を開発するだけであれば、RTOSに関する詳細知識は必ずしも必須ではない※1)
  • ソフトウェア開発対象であり、また再利用の対象である処理本体(正確には、処理実行の最小単位)は、SW-CのRunnable Entity(RE)として実装され、処理を行うきっかけ(トリガー)により起動される
    • 処理本体REは、RTE(Runtime Environment)の一部として自動コード生成されるTaskBodyや、ISR Bodyから呼び出される(各Bodyは手書きする必要のない部分、また、特に理由がなければISRではなくTaskを使用する)
    • Taskは、おおよそ、「マイコンのハードが持つ割り込み優先度のさらに下位側に、RTOSによって付け加えられた、割り込み処理群を模倣したようなもの」であり、ISR(割込み処理)と同様に、優先度に基づくイベントドリブンな処理実行を実現できる
    • REのトリガーは、時間イベントや受信など幾つかのものに標準化されており(表1)、それらは、RTE(RTE内のTask BodyやISR Bodyおよびその下にあるRTOSと各種BSW(Basic Software))、そして、それらで抽象化されるハードウェアの部分により実現(トリガー生成)される
図1 図1 AUTOSAR CPのソフトウェアアーキテクチャ[クリックで拡大]
表1 表1 RTE Eventの一覧(x:Runnableの起動(ACT)要因および動作再開(WUP)要因)[クリックで拡大]

 今回は、「2.処理の中身(ふるまい)の実現」からです。

※1)インテグレーションを行うインテグレーターには、RTOSに関する詳細知識が求められます。

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