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» 2022年06月27日 08時00分 公開

日立がハイパーループのデジタルシミュレーターを開発、物理的試験への道を開く電動化

日立製作所傘下の日立レールとハイパーループTTは、最高時速1200kmでの超高速走行を想定する次世代の交通システム「ハイパーループ」について、欧州共通の列車制御システム(ERTMS)に基づくクラウドベースでのPoCを完了したと発表した。ハイパーループの商用化に向けて重要なマイルストーンになるという。

[朴尚洙,MONOist]

 日立製作所傘下の日立レールとハイパーループTT(Hyperloop Transportation Technologies)は2022年6月23日(現地時間)、最高時速1200kmでの超高速走行を想定する次世代の交通システム「ハイパーループ」について、欧州共通の列車制御システム(ERTMS:European Rail Traffic Management System)に基づくクラウドベースでのPoC(概念実証)を完了したと発表した。ハイパーループの商用化に向けて重要なマイルストーンになるという。

ハイパーループのイメージ ハイパーループのイメージ[クリックで拡大] 出所:日立製作所

 両社は、日立レールのナポリ工場において、ハイパーループの信号システム、運行管理システム、一部の物理的安全要求の統合試験を行うことのできるデジタルシミュレーターを開発した。現在は、デジタルシミュレーターとハイパーループTTのシミュレーターを機能的に統合するインタフェースを開発中だ。

 このデジタルシミュレーターでは、ERTMSとETCS(European Train Control System)レベル2の信号技術に準拠する形で、ハイパーループでの利用が想定されている時速1000km以上の超高速で移動するカプセルの制御をシミュレートするシステムを構築した。国際的に広く使用されるとともに汎用性に富むERTMSに準拠することで、世界各国でハイパーループの開発を進めている企業は、ハイパーループ向け信号システムの新しい規格を作る必要なく安全に運用できるとする。

 開発したデジタルシミュレーターは、複雑な物理的機器の機能をクラウド上のソフトウェアに置き換えることにより、信頼性と柔軟性を向上させて、保守コストを削減し、持続可能性を実現できる。また、反復作業を自動化するとともに、潜在的トラブル要因を事前に検知/管理することで、トラブル発生時に都度対応する手間を省けるので、ハイパール―プTTの運用効率化にも貢献する。

 次のステップでは、物理的な信号インフラとクラウドベースの信号/運行管理システムのシミュレーションモデルの両方を、実際のハイパーループのカプセルとデジタル的に統合することになる。これにより、フランスのトゥールーズにあるハイパーループTTの試験線でのシステム全体の物理的試験に移行するための道が開かれたとしている。

 日立レールは2020年12月、ハイパーループTTと、ハイパーループのカプセル輸送システムとERTMSの統合を目指す技術パートナーシップを発表。高速鉄道向けデジタル信号業界のリーダー企業であり、ERTMSを英国、イタリア、スペイン、スウェーデン、フランスなどの欧州に加えて、中国やインドにも納入した実績がある。

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