ルネサス エレクトロニクスの電力線通信用IC「R9A06G037」が、パナソニックの駅ホーム用照明制御システムに採用された。同ICは、照明の調光調色システムを電力線のみで制御できるため、費用と工期の削減に貢献する。
ルネサス エレクトロニクスは2020年3月26日、電力線通信(PLC)用IC「R9A06G037」が、パナソニックの駅ホーム用照明制御システムに採用されたと発表した。
R9A06G037は、狭帯域(低速)向けPLC(10〜450kHz)用モデムICで、PLC規格の1つ「G3-PLC」に準拠する。電力線通信の物理層を処理するDSPコアと、上位のプロトコルを処理する「Arm Cortex-M3」MCUコアを搭載し、通信用ソフトウェアの処理性能と高いノイズ耐性を備える。
パナソニックはJR東日本と共に、時間帯や天候によって駅ホーム用照明の調光や調色を制御するシステムを開発している。G3-PLC方式を採用したことで、調光調色専用の信号線を敷設する必要がなくなり、電力線のみで制御信号を送れる。
ルネサスは、R9A06G037以外にも、基板回路の提案や改良、レファレンス用通信ソフトウェア、ソフトウェアの開発支援、通信状態の評価ツールといった技術サポートを提供している。無線電波や列車の発停車に伴う電磁波、電気機器のノイズが飛び交う駅構内でも正常に動作するシステムの構築に貢献した。
新しい照明制御システムは、JR東日本が運営する山手線、京浜東北線の新駅である高輪ゲートウェイ駅のホームで運用を開始する。
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