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» 2022年06月17日 08時00分 公開

PLMでコンプライアンス対応(3):VDAのプロジェクト変更管理をPLMで行うDX時代のPLM/BOM導入(7)

本連載では製造業DXの成否において重要な鍵を握るPLM/BOMを中心に、DXと従来型IT導入における違いや、DX時代のPLM/BOM導入はいかにあるべきかを考察していく。第7回は自動車の品質マネジメント規格であるVDA6.3のプロセス監査におけるプロジェクトの変更管理の要求事項と、PLMによる対応のポイントを紹介します。

[三河進/株式会社グローバルものづくり研究所,MONOist]

 今回は、欧州の自動車品質規格であるVDAに対する、PLMによる対応策を解説します。VDAとはドイツ自動車工業会のことで、VDA規格はVDAが発行した自動車のQMS(品質マネジメントシステム)規格を指します。VDA規格は、VDA6.3(プロセス監査)を含めた複数の規格で構成されています。

 ここでは、VDA6.3のプロセス監査における1つの要素であるプロジェクトの変更管理の要求事項と、PLMによる対応のポイントをご紹介します。

VDAとプロジェクトの変更管理

 図表1は、英語の原文のままで恐縮ですが、VDA6.3のプロセス監査に関する質問事項の内、プロジェクトの変更管理に関する記述を抜粋したものです。変更管理プロセスに対して、顧客固有要件への適合性、変更のリスク評価、重要サプライヤーの巻き込み、顧客への報告と合意、全ての変更の文書化、責任者の定義などが要求されていることが分かります。

■図表1:VDA6.3プロセス監査の質問票[クリックして拡大]

プロジェクトの変更管理モデル

 では、これらの要求に対するPLMでの対応方法を確認しましょう。図表2は、PLMによるプロジェクトの変更管理モデルを示したものです。プロジェクトは、フェーズ、タスクにブレークダウンされたWBS(ワーク・ブレークダウン・ストラクチャー)と呼ばれる構造で管理されます。PLMのタスクは計画や実績の日付、必要リソースなどの情報だけでなく、リビジョンも保持しているので、WBSの履歴を管理することができます。

 設計変更の管理アイテムがECO(前回参照)であるのに対して、プロジェクト管理では変更をPCO(プロジェクト変更オーダー)で管理します。これらの機能を用いて、プロジェクトの変更管理を行うのです。

 図表2の変更前と変更後の違いを確認しましょう。タスク4のリソースが、サプライヤーAからサプライヤーCに変わっています。さらに、タスク4の終了予定日が「6月20日」から「6月30日」になり、その影響でフェーズの終了日と後続タスクの開始日も変更になっていることが分かります。

 そして変更されたタスク全てに、プロジェクト変更オーダーであるPCO1が関連付けられています。プロジェクトの変更は、PCOを用いて評価、文書化され、顧客、社内、サプライヤーなどの間で共有されるのです。

 PLMのプロジェクト管理機能は、近年、自動車業界での利用が活発になっていますが、こうした背景が一因になっていると考えられます。

■図表2:PLMにおけるプロジェクトの変更管理モデル[クリックして拡大]

自動車品質規格に準拠したPLMシステム構築の流れ

 IATFやVDAの品質規格への対応策に話を戻しましょう。図表3は、自動車品質規格に準拠したPLMシステム構築の流れを示します。IATF16949やVDA6.3を基にして、品質保証部門が主体となって自社のQMSを構築します。それに対応して、各部門は自部門の業務マニュアルへと展開していきます。

 そして、その業務の確実な遂行と効率化のために要件定義を行い、PLMシステムに実装します。なお、ここでPLMシステムの再構築は必須というわけではありません。既存システムの改修も1つの方法として考えられます。

■図表3:QMSに対応した業務からシステムへの実装プロセス[クリックして拡大]

 次回はDX時代を象徴する、グローバルPLMの概要と導入手順を解説したいと思います。お楽しみに。

⇒前回(第6回)はこちら
⇒連載「DX時代のPLM/BOM導入」バックナンバー
⇒製造マネジメントフォーラム過去連載一覧

著者プロフィール

三河 進
株式会社グローバルものづくり研究所 代表取締役

大阪大学基礎工学部卒業。

大手精密機械製造業において機械系エンジニアとして従事後、外資系コンサルティングファーム、大手SI会社のコンサルティング事業を経て、現職に至る。
専門分野は、製品開発プロセス改革(3D設計、PLM、BOM、モジュラー設計、開発プロジェクトマネジメントなど)、サプライチェーン改革、情報戦略策定、超大型SIのプロジェクトマネジメントの領域にある。また、インターナショナルプロジェクトにも複数従事経験があり、海外拠点のプロセス調査や方針整合などの実績もある。

主な著書

・「図解DX時代のPLM/BOMプロセス改善入門」,日本能率協会マネジメントセンター(2022)

・「5つの問題解決パターンから学ぶ実践メソッド BOM(部品表)再構築の技術」,日本能率協会マネジメントセンター(2018)

・「製造業の業務改革推進者のためのグローバルPLM―グローバル製造業の課題と変革マネジメント」,日刊工業新聞社(2012)

・「BOM/BOP活用術」,日経xTECH(2016)

・「グローバルPLM〜世界同時開発を可能にする製品開発マネジメント」,ITメディア社MONOist(2010)など多数

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