NTNは、センサーと発電ユニット、無線デバイスを軸受に内蔵することで、温度、振動、回転速度の情報を無線送信する「しゃべる軸受」を開発した。装置内部に組み込まれる軸受がセンサーを内蔵するとともに、発電デバイスによって軸受の回転時に得られる電力を用いて無線デバイスを動作させ、センサーデータを自動で無線送信できる。
NTNは2022年6月14日、センサーと発電ユニット、無線デバイスを軸受に内蔵することで、温度、振動、回転速度の情報を無線送信する「しゃべる軸受」を開発したと発表した。装置内部に組み込まれる軸受がセンサーを内蔵するとともに、発電デバイスによって軸受の回転時に得られる電力を用いて無線デバイスを動作させ、センサーデータを自動で無線送信することにより“しゃべる”ことができるというコンセプトである。
しゃべる軸受は、寸法と負荷容量を変更することなく、標準軸受にセンサーと発電ユニット、無線デバイスを内蔵している。軸受の内輪と外輪の間に組み込まれている転動体を覆う保持器の円周上に電子回路基板を設置し、さらにその表面を回路保護剤で被覆している。この電子回路基板にセンサーと発電ユニット、無線デバイスの機能を集積している。
標準軸受と寸法、負荷容量が同じなので、既存設備に使用されている軸受を置き換えることが可能だ。装置や設備の状態監視を行う際、センサーを外付けすることが多いが、しゃべる軸受を使えば、装置や設備の内部で起こる変化を感度良く検出できるのでより早期に異常を診断できる。電源供給やデータ送信のためのケーブルも不要なので、軸受の状態監視を容易に実現できるとする。
NTNは、しゃべる軸受のテストマーケティングを開始し、具体的なニーズの探索と市場への提案を進める計画。まずは、生産設備で多く使用されている深溝玉軸受の商品化を進め、その後適用する軸受の種類や品番などを段階的に拡大する予定である。
同社はこれまでに、2014年に開発した大型風力発電用軸受の状態監視システムが多くの顧客に採用されている他、工作機械主軸用のセンサー内蔵軸受ユニット、産業用IoT(モノのインターネット)プラットフォーム向け軸受診断アプリ、NTNポータブル異常検知装置などを開発し、軸受の状態監視に関する技術を高めてきたという。
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