シーメンスは一方で、「より良い製品を、より良いPCF(製品カーボンフットプリント)で作るということは、1社ではできない」とも指摘。世界経済フォーラムによると、産業界のバリューチェーンは世界全体のCO2排出量の2割を占めるという。しかし、「各メーカーが自分たちでコントロールできるのは1〜2割で、残りの8割ほどは上流のサプライチェーンに起因している」(同社)のだ。
Neike氏は、「われわれはこのデータをもっと理解する必要があり、そのために業界一丸となって取り組む必要があった。データを取得し、透明化し、エコシステム全体で共有することで、前進する必要があったのだ」と述べ、CO2排出量などの気候関連データをサプライチェーン全体で共有するためのグローバルな非営利団体「Estainium協会」を立ち上げたことを紹介した。
Estainium協会は、企業間で情報交換するための技術、インフラを検討する「技術とインフラ」や情報交換のための「標準と規格の確立」、そして「CO2の回収、再使用、保管、最終的な補償」を3つの柱とし、メンバーがPCFを共有できるネットワークを構築。暗号化され検証可能な証明書を使用した分散型アプローチによって、データの信頼性とサプライチェーンの機密性も保証されるという。
創設メンバーには、シーメンスのほか、NTTデータやドイツの大手化学メーカー、メルクなどが名を連ねる。シーメンスは、「デジタル化の革新的な可能性を利用し、サプライチェーン全体で使用される排出量や資源の量と質に関する情報の不満足/不完全な状態や、経済的な誤配分を解消することを目指す」としている。
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