サステナブルなモノづくりの実現

国産巨大3Dプリンタとリサイクルシステムを一体化、「鎌倉発」の最先端ラボ公開サステナブル設計(2/4 ページ)

» 2022年06月07日 08時00分 公開
[八木沢篤MONOist]

大型3Dプリンタやマテリアル再生装置などが1つのシステムとして機能

 リサイクリエーションラボ内には、エス.ラボと共同開発した純国産の「混合リサイクル式大型3Dプリンタ」(ペレット材に対応する材料押し出し積層方式)の他、回収した使用済みプラスチック(例:樹脂製ハンガー、洗剤の詰め替えパック)などをフレーク状に細かく砕く「粉砕機」、そして粉砕した材料に、リサイクル素材の繊維や粉末フィラー入りマスターバッチなどの改質材を適切な配分で添加してリペレットする「マテリアル再生装置」、再生したペレット材などを乾燥させて造形時の品質を高める「乾燥機」、造形材料を配合して3Dプリンタに供給する「材料配合・供給機」といった装置が並び、市民から集めた資源とアイデアを基に、高付加価値アップサイクルの実現を目指す。

エス.ラボと共同開発した純国産の「混合リサイクル式大型3Dプリンタ」 エス.ラボと共同開発した純国産の「混合リサイクル式大型3Dプリンタ」[クリックで拡大]
粉砕機マテリアル再生装置 (左)回収した廃プラなどをフレーク状に粉砕する「粉砕機」/(右)粉砕した廃プラとフィラーを混錬してリペレット化する「マテリアル再生装置」[クリックで拡大]
乾燥機材料供給機 (左)再生したペレット材などを乾燥させて造形時の品質を高める「乾燥機」/(右)造形材料を配合して3Dプリンタに供給する「材料配合・供給機」[クリックで拡大]

 なお、混合リサイクル式大型3Dプリンタには、2つの3Dプリンタが組み込まれており、大型の3Dプリンタの最大造形サイズは1000×1000×1000mm、中型の3Dプリンタの最大造形サイズは400×700×400mmとなっている。これにより、家具のような大型のものからプランターのような小さなものまで、幅広く造形することができる。

大型3Dプリンタ中型3Dプリンタ (左)家具などの大型造形が可能な3Dプリンタと(右)中型の3Dプリンタを搭載する[クリックで拡大]

 また、リサイクリエーションラボ内の、それぞれの装置は単独で切り離されたものではなく、1つのシステムとして接続され、各工程が連携することを目指している。そのため、現在は「各装置メーカーと共同で個別の機能拡張やカスタマイズなどの改良を進めながら、リサイクルシステムと大型3Dプリンタがドッキングした1つのパッケージとして機能するように研究開発を進めている」(田中氏)としている。例えば、3Dプリンタと材料供給機の連携では、制御プログラムによって造形途中で供給する材料の配合を変えることで、部位ごとに異なる物性を持たせたり、途中で色味を変化させたりといったことも可能になる。

リサイクルシステムと大型3Dプリンタが1つのパッケージとして機能することを目指す リサイクルシステムと大型3Dプリンタが1つのパッケージとして機能することを目指す[クリックで拡大] 出所:慶應義塾大学SFC研究所

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