パナソニック ホールディングスは2022年5月11日、2022年3月期(2021年度)の連結業績を発表。原材料高騰の影響や一時的なマイナス要因はあったものの、インダストリー分野やエナジー分野での成長などがけん引し、増収増益を実現した。
パナソニック ホールディングスは2022年5月11日、2022年3月期(2021年度)の連結業績を発表。原材料高騰の影響や一時的なマイナス要因はあったものの、インダストリー分野やエナジー分野での成長などがけん引し、増収増益を実現した。
パナソニック ホールディングスの2021年度の業績は売上高が前年度比10%増の7兆3888億円、調整後営業利益が同16%増の3577億円、営業利益が同38%増の3575億円、税引き前利益が同38%増の3604億円、当期純利益が同55%増の2553億円となり、主要経営指標は全て前年度を上回っている。
セグメント別で見ると、くらし分野は、欧州の空調や海外の電材、中国の家電事業などが増収となったが日本の家電製品が巣ごもり需要の反動減となり前年度並みの売上高となった。一方で原材料高騰や部材調達の混乱などの影響が大きく営業損益では減益となっている。オートモーティブ分野は、第1四半期は自動車生産が回復し好調だったが第2四半期以降減産の動きが強まったことから売上高は前年度並みとなった。半導体など部材高騰の影響はあったがコストダウンや一時費用計上により増益となっている。
コネクト分野は、買収したブルーヨンダーが新規連結となったことや、実装機やプロジェクターの販売拡大の影響から増収増益となった。インダストリー分野は、産業用モーターや情報通信インフラ、車載用コンデンサー、EV(電気自動車)リレーなどが好調で増収となった。半導体不足や原材料高騰などの影響は受けたものの、価格改定や合理化などを進めたことで営業損益面でもプラスとなっている。エナジー分野は旺盛なEV需要を背景に、北米新ラインの稼働があったことなどから車載向け電池が大幅に拡大。原材料高騰などの固定費増はあるものの、増収増益となった。
2022年度の連結業績見通しは、売上高が2021年度比7%増の7兆9000億円、調整後営業利益が同6%増の3800億円、営業利益が同1%増の3600億円、税引き前利益が前年度同等の3600億円、当期純利益が同2%増の2600億円としている。
ただ、2022年度の事業環境はさまざまな不確定要素が存在する。ネガティブな要因として懸念されているのが、部材不足と原材料価格の高騰などの影響である。パナソニック ホールディングス 取締役 副社長執行役員 グループCFOの梅田博和氏は「2021年度では原材料高騰および物流費高騰の影響として1600億円のマイナス影響があった。この内100億円相当が物流関連で、残りの1500億円が原材料価格高騰の影響である。最も影響を受けたのがくらし分野で、1500億円の半分強がこの分野への影響だ。2022年度も原材料高騰のマイナス影響は1500億円相当の影響があると見ている」と述べている。
さらに、これらの見通しに加えていないリスク要因となっているのが、コロナ禍による中国・上海地域のロックダウンの影響だ。中国への輸出入や物流などでさまざまな問題が懸念されているが、梅田氏は「発生したのが2022年3月のことであり、今回の見通しには含めていない。実際の影響度合いや、いつまで続くのかという点も含めて、影響度はどのくらいになるのか把握しかねている状況だ。影響は決して小さなものではないと考えている」と述べている。
また、パナソニックでは2022年度の前提為替レートを、米ドルは115円、ユーロは130円、人民元は19円としているが、人民元以外は現状と乖離している状況だ。これについて梅田氏は「全社で見た為替感応度は、米ドルもユーロも円安になればプラスに働く。一方で人民元については円安になるとネガティブに働く。現状のまま推移すればポジティブサイドは乖離しているのでプラスになる影響がある」と見通しを示している。
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