科学計算総合研究所は、自動車の空力シミュレーションの結果を高速に予測するアプリケーション「RICOS Lightning」を正式リリースした。同社独自のAIアルゴリズム「IsoGCN」を用い、これまで計算結果を得るまでに数日かかっていた自動車の空力シミュレーションを高速化し、高精度な予測結果が得られる。
科学計算総合研究所(RICOS)は2022年4月27日、自動車の空力シミュレーションの結果を高速に予測するアプリケーション「RICOS Lightning」を正式リリースしたことを発表した。
シミュレーション結果が高速に得られることで、限られた製品開発期間の中、より多くのデザインパターンの検討が可能となり、最終製品の性能向上へとつなげられる。
RICOS Lightningは、同社独自のAI(人工知能)アルゴリズムである「IsoGCN」を用いることで、これまで計算結果を得るまでに数日かかっていた自動車の空力シミュレーションを高速化し、高精度な予測結果を取得できるアプリケーションである。同社によると、自動車の空力シミュレーションの結果をわずか数分で予測できた実績があるという。
AIアルゴリズムのIsoGCNは、シミュレーションデータへの適用に特化しており、次の3つの特長を備えている。
1つ目は、従来のシミュレーションと比較して計算量を削減でき、抜本的な計算の高速化が可能な点だ。2つ目の特長は、計算対象となる3D形状を詳細に把握でき、製品設計の現場で用いられる複雑な形状の予測に適している点が挙げられる。そして、3つ目がアルゴリズムに流体解析、熱解析、構造解析などの手法が組み込まれているため、従来のシミュレーションと同じく、全く新しい製品形状に対しても信頼性の高い結果が得られるという点だ。
今回の正式リリース版で利用できるのは、自動車の空力シミュレーションの結果予測のみとなるが、IsoGCNの適用先として既に実績のある流路解析や電子部品の熱解析など、予測可能なシミュレーションの種類を順次拡大していく予定だとしている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.