ServiceNowのNow Platformは、“Single Systems of Action”をキーワードに、各部門で使っているさまざまなシステムの横串を通して、従業員やサプライヤー、顧客がインターネット越しにアクセスして、リクエストや問い合わせ、申請、承認などの業務アクションを行えるようにするプラットフォームである。製造業向けソリューションとしては、顧客エクスペリエンスの強化を目的とする「Customers Workflows」、エンジニアリングと生産のデジタル化に貢献する「Factory Workflows」、サプライヤーとの協同とリスク管理が可能な「Supplier Workflows」、従業員のコミュニケーションとエンゲージメントに役立つ「Workforce Workflows」、ServiceNowが得意としてきたIT関連のワークフローとなる「IT&Shared Services Workflows」という5分野でユースケースをまとめている。これらの他、ESG(環境、社会、ガバナンス)関連や経理関連のソリューションも存在している。
会見では製造業で想定されるユースケースも紹介した。まずCustomers Workflowsでは、顧客や代理店からの問い合わせ対応について、その問い合わせ内容に応じて在庫管理や営業担当、技術担当、生産担当など社内の各部署に自動で割り振るというソリューションがある。各担当者が問い合わせ対応に必要とするデータについても、社内システムと自動連携することで素早く把握できる。顧客からみても、問い合わせ対応がどこまで進んでいるかを可視化できるのでエクスペリエンスを高められるとしている。
Factory Workflowsでは、製造業から要望の強いITとOT(制御技術)の資産をセキュリティの観点で合わせて管理するソリューションとして「ServiceNow Operational Technology Management」を用意している。同ソリューションは、どこにどのような資産があるのかという情報を集める「Foundation」、それらを可視化する「Visibility」、可視化したものの脆弱性に対応する際の優先順位付けなどを行う「Vulnerability Response」、起こった問題についてデジタルワークフローで解決する「Service Management」から構成されている。さらに、セキュリティに向けた資産管理では、ServiceNowがIT分野で展開してきた構成情報データベースの「CMDB」を用いて、PLCやSCADAなどOTの資産も管理できるようにしている。
また、ある機械工具メーカーはFactory Workflowsを導入してインダストリー4.0に対応しており、さまざまな業務をのデジタル化に取り組んでいる。その一例として、製造オペレーションにおけるインシデント対応のデジタル化がある。これらのインシデントの情報がデジタルワークフローに載ることでデータが蓄積され、データ分析を行って改善につなげられるとしている。
Supplier Workflowsでは、サプライヤーの新規取引登録(オンボーディング)の手続きについて、従来はメールや文書データベースで行われていたところを、ServiceNowのソリューションを介した自動連携に置き換えれば業務時間や属人的ミスの削減につなげられる。また、ある自動車メーカーは、資材供給の確実性と業務効率を同時に向上させるため、工場、サプライヤー、物流サービス業者を接続するSupplier Workflowsベースのサプライチェーンプラットフォームを構築し一定の効率化の成果を得ている。
IT&Shared Services Workflowsでは、2022年3月に発表した日立製作所(以下、日立)との協創によるPSIRT運用プラットフォームの事例を挙げた。ServiceNowの「Security Operations」と日立の脆弱性検索サービスを組み合わせることで、製造業における効率的かつ迅速な製品セキュリティ対策が可能になるという。
直近の引き合いについては、製造業においてもセキュリティインシデントが頻発していることもあり、Factory WorkflowsにおけるOT資産管理やセキュリティの関連で特に強くなっている。また「自動車、電機、精密をはじめ全方位的にアプローチしているが、特にグローバルで拠点展開している製造業からの引き合いが多い」(松本氏)という。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.