価値を算定できない中古車EVのバッテリー、SCiBの技術を応用して電池状態を診断電動化

ファブリカコミュニケーションズ、丸紅プラックス、東芝の3社は、中古車EVの安全性と流通の活性化を目的とした新サービスの検討を目的に、中古車EVの電池状態診断技術の実証実験を行うことで合意したと発表した。実証実験を通じて、3社共同で次世代に向けたEV普及に寄与するソリューションやサービスの創出を進めていく方針。

» 2022年04月07日 06時30分 公開
[朴尚洙MONOist]

 ファブリカコミュニケーションズ、丸紅プラックス、東芝の3社は2022年4月6日、中古車EV(電気自動車の中古車)の安全性と流通の活性化を目的とした新サービスの検討を目的に、中古車EVの電池状態診断技術の実証実験を行うことで合意したと発表した。実証実験を通じて、3社共同で次世代に向けたEV普及に寄与するソリューションやサービスの創出を進めていく方針。

 今回の実証実験では、東芝が二次電池「SCiB」事業で培った、電気化学的手法や統計的手法などの多様な電池劣化診断技術を用いる。簡素化した装置を活用することで車載バッテリーであるEV電池の測定を短時間で行い、電池の残存容量や残存性能に加えて電池そのものの内部状態まで詳細に把握する手法も検証する。

 丸紅プラックスとファブリカコミュニケーションズは、実証実験から得られたEV電池の測定データを、両社が事業を通して蓄積してきたさまざまな自動車データと組み合わせることにより、中古車EVの安全性と適正な価値算定や評価手法の確立を目指す。また、中古車業界向けに提供している既存プラットフォーム上に新たにEV中古車情報を組み込むことができるようになる。

 2050年のカーボンニュートラル達成に向けてEVの市場拡大が期待されており、中古車市場に流通するEVの台数も急速に増えることが予想される。その一方で、中古車EVの安全性と流通の活性化を目指す上で、EV電池の状態診断やその診断結果に対する評価が極めて難しいという課題がある。EVの駆動システムを構成するモーターの状態評価はエンジン車と同じく積算走行距離が価値算定する上での指標になり得るものの、繰り返し充放電されるEV電池は、現時点では価値算定の指標がまだ確立されていない状況にある。

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