3階建ての企業改革を基礎として、新会社のパナソニック コネクトとしては成長事業とコア事業の2軸で企業価値向上にフォーカスしていく。成長事業は、ブルーヨンダー単体と、ブルーヨンダー×パナソニックによるシナジー創出、そして旧PSSJを母体に発足する現場ソリューションカンパニーから構成されている。樋口氏は「製造業がソフトウェアやシステム、ソリューションで価値向上を図ることは、言うのは簡単だがやるのは難しい。しかし、パナソニック コネクトにはブルーヨンダーがある。これに現場でのソリューション開発を続けてきたPSSJを一体にして伸ばしていく。そのために経営資源を集中投下する」と強調する。
ブルーヨンダーは2021年度の売上高が11億米ドル以上、クラウドベースのSaaSの年間経常収益が4億7500万米ドル、リカーリング率が69%、SaaS顧客維持率が96%となっている。まずは、既存顧客のSaaS型移行を推進し、2024年までにSaaS年間経常収益で10億米ドル超えを目指す。クラウドベースのサプライチェーンプラットフォーム「Luminate」の強化を進めつつ、不足している機能の拡充などに向けて少額のM&Aも検討する。ここでは、ブルーヨンダーとパナソニック コネクトのM&Aチームの運営を、ブルーヨンダーに合わせる形で一体化させていく方針だ。
ブルーヨンダー×パナソニックによるシナジー創出では、サイバーフィジカルシステム技術による現場ごとの最適化と全体最適化を目指す。取り組みとしては、まず、パナソニックグループ全社へのブルーヨンダーソリューションの導入を進める。2023年度以降の本格導入に向けて、2022年度の1年間は準備に当てる計画だ。また、ブルーヨンダーの日本市場における拡販余地が大きいことから、ブルーヨンダー日本法人の会長を務める樋口氏が陣頭に立って開拓を加速させる。
また、ブルーヨンダーの顧客20社へのヒアリング結果から、「人・モノのセンシング」を含む60のユースケースを抽出しており、2022年度は2つのユースケースにフォーカスしソリューション化をスタートする。1つは、商品価格を動的に変更するダイナミックプライシングなどを可能にするソリューションで、もう1つはトラックを用いた倉庫への商品入荷を効率的に調整するソリューションになるという。
現場ソリューションカンパニーについては、これまで受託型が中心だったビジネスモデルをリカーリング型に置き換えていく。現場プロセス事業の中核を担う4つのソリューション部門を新設し、ブルーヨンダーと連携しながら国内市場での事業展開を加速する。
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