JISには「ねじ部品の指示及び寸法記入方法」が規定されています。ここではその“呼び方”について説明します。
メートルねじでは、「ねじの種類」「呼び径またはサイズ」を「M○○」といったように記入しています。例えば、呼び径10mmの場合、並目ねじであれば「M10」、細目ねじであれば「M10×1」と記載します。並目ねじでは、そのピッチまで記入しません。また、他の種類のねじであれば、管(くだ)用ねじを使用することも多いのではないでしょうか。ねじの種類とその略号は表2の通りです。
ミニチュアねじは、あまり聞いたことがないかもしれませんが、呼び径0.3〜1.4mmのものをメートルねじと区別し、略号「S」を使用して表します。時計、光学機器、電気機器、計測機器などに使用されていますが、JISには「呼び径1〜1.4mmのねじについては、設計者は一般用メートルねじ、またはミニチュアねじのいずれを用いるかを決めなければならない」と記述されています。ミニチュアねじは、ねじの山形および公差方式が一般用メートルねじのものと異なっているのが特徴です。
管用ねじは、管、管用部品、流体機器に使用されます。産業機械ではコンプレッサーにエアーを搬送するチューブの継手を、部品に取り付ける際などによく使われます。管用ねじは、「管用テーパーねじ」と「管用平行ねじ」の2種類があります。
管用テーパーねじは、先端に行くほど細くなるような円すい形をしています。適正なトルクでねじ込むとがっちりと密着するので、水道管や真空配管など密性や気密性が要求される場所に使用されます。表2にあるように、一般的には「R」と「RC」の組み合わせで使います。管用平行ねじは、先端まで均一な形状の円筒形のねじで、気密性を要求されない機械的接合といわれる、配線用の配管の接続などで使用されます。なお、これら継手の略号の後にある数字の単位は“インチ”です。製図だけに関わることではありませんが、ねじの種類を理解することはとても重要ですので、JISの確認をおススメします。
次に、寸法記入の方法について説明します。
ねじの寸法記入例を図5に示します。
なお、旧JISでは図6のように、おねじの山の頂(または、めねじの谷底)から引き出し線によって、ねじの呼び径を記入していました。
そして、ねじの長さおよび止まり穴の深さの記入例です。図7左を基本にしますが、図7右の描き方が“簡単な描き方”としてJISに記載されています。
3D CADを運用している場合、標準的なねじを用いて、2D図面による組み立て図や部品図などを描く機会はそれほど多くありませんが、図5のような部品を作成するケースもあります。そのため、ねじの規格や正しいねじの描き方については、JISを確認し、設計者として理解を深めておく必要があると考えます。
さて、次回は本連載の最終回として、他の機械要素の解説と、JIS製図についてのまとめをお届けします。お楽しみに! (次回へ続く)
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