設備からのデータ収集については連載第1回で紹介しました。データ収集の間隔が、数秒より長い設備で生産している場合は特に問題ありませんが、1秒よりも短い間隔になると1台のラズパイでデータ収集していては、ラズパイの能力が追い付かずデータの収集漏れが発生してしまうことがあります。そこで、1秒未満の間隔でデータを収集して、データベース(DB)保存と画面表示を行う例について解説します。
図4に示した、ラズパイとリレー回路の配線例を使って説明します。まず、電圧の違いを吸収するためのリレー回路を挟んで、生産ショット信号(青)、自動運転信号(緑)、停止信号(黄色)を配線します。リレー回路の反対側には生産ショット信号(青)、自動運転信号(緑)、停止信号(黄色)に対応する配線をラズパイのGPIOピンに差し込みます。
次に、設備信号収集用ラズパイとデータ処理用ラズパイをLANケーブルで接続します。
図5のシステム構成図で処理の流れについて説明します。1)でリレー回路と接続した設備信号収集ラズパイでは、設備から配線した生産ショット信号(青)、自動運転信号(緑)、停止信号(黄色)を収集します。その収集したデータをデータ処理用ラズパイに送信します。データ処理用ラズパイは受け取った信号をDBに保存するとともに、可動率照会のように画面へ最新情報の反映をします。
図6を使って、プレス機におけるデータ収集の例で高速信号の収集方法のポイントについて説明します。
プレス機の場合は可動部が回転する角度を基に、信号の出力を制御できます。この例は1秒間隔でプレスする設備の例となります。この場合、可動部の角度が90〜270度の範囲で信号出力するように設定すると0.3〜0.8秒までは信号がオンになります。ラズパイ側では信号を定期間隔で収集しますが、チャタリング(可動接点などが接触状態になる際に、微細な非常に速い機械的振動を起こし信号のオン/オフを繰り返し乱れること)などで信号が乱れる場合がありますので、スリープ処理をして0.2秒程度おいてから再度信号を収集してオンになればカウントするといった処理を入れる必要があります。
このように、設備信号の収集と収集したデータの処理を分担することにより、0.5秒間隔までは、設備データの収集で取り漏らしを起こさずに、蓄積や可視化も行えます。ぜひお試しください。
株式会社アムイ 代表取締役
山田 浩貢(やまだ ひろつぐ)
NTTデータ東海にて1990年代前半より製造業における生産管理パッケージシステムの企画開発・ユーザー適用および大手自動車部品メーカーを中心とした生産系業務改革、
原価企画・原価管理システム構築のプロジェクトマネージメントに従事。2013年に株式会社アムイを設立し大手から中堅中小製造業の業務改革、業務改善に伴うIT推進コンサルティングを手掛けている。「現場目線でのものづくり強化と経営効率向上にITを生かす」活動を展開中。
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