小型ボードコンピュータ「Raspberry Pi(ラズパイ)」を使って、低コストかつ現場レベルでIoT(モノのインターネット)を活用する手法について解説する本連載。第10回では、気体や液体を管理するバルブの開閉状態をラズパイとカメラの組み合わせでセンシングする事例を紹介する。
IoT(モノのインターネット)活用といえば真っ先に思い付くのがセンシングでしょう。このセンシングに小型ボードコンピュータの「Raspberry Pi(ラズベリーパイ、略してラズパイ)」を活用したいニーズは限りなくありますが、コストを抑えながらどこまで精緻にセンシングできるかが気になるポイントになります。今回と次回では、気体の配管に取り付けられたバルブの開閉センシングの事例を解説していきます。
研究設備で複数の気体を扱うため、ボンベから配管を通じて設備に気体を供給しています。そのため、設備で使用する際に配管に取り付けられたバルブを開けて使用し、使用後にバルブを閉める作業を人手で行っています。
このときバルブの閉め方が不十分だったりすると、扱っている気体の種類によっては災害につながるケースがありますので、使用後にバルブを閉める管理をしっかり行う必要があります。これまでは、人が目視でバルブの開け閉めを見て、管理簿に記録する方法をとって目で見る管理をしていました。
しかしながらこのような管理すべきバルブが100カ所を超えると管理が煩雑になってしまいます。工事業者に相談すると電磁弁を使用して遠隔で制御すると良いと提案を受けました。ただし、電磁弁を採用するとなると、防爆タイプの場合は1個当たり数万円することから100カ所に取り付けるには数百万〜数千万円に達する高額投資が必要になります。
そこで、ラズパイを使用してバルブの開閉をセンシングすることを思い付き、以下の2つの方法を検討しました。
(1)は複数のバルブがまとまって存在しているエリアの写真を撮影し、バルブの矢印の方向を画像解析して開閉を検知する方法です。この方法であれば、一度に複数個のバルブの写真を撮影することによりバルブ1個当たりにかかる投資コストを抑えることができます。ここで大切なのが、撮影した写真データを解析する際の精度を100%保証できるかになります。
一方、(2)は現在使用しているバルブはそのまま使用しながら、バルブの外側に磁器センサーを取り付けて開閉検知を行う方法です。
まずは(1)についての検証を行いましたので、ここから解説していきます。
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