座ったまま検査可能、ヘルメット型の頭部専用PET装置を発売医療機器ニュース

量子科学技術研究開発機構とアトックスは、半球状の検出器を採用し、座位のまま検査ができる、小型かつ高性能のヘルメット型頭部専用PET装置「頭部専用PET装置 Vrain」を発売した。

» 2022年02月02日 15時00分 公開
[MONOist]

 量子科学技術研究開発機構とアトックスは2022年1月18日、半球状の検出器を採用することで小型、高性能化を可能にし、座位のまま検査ができる、ヘルメット型の頭部専用陽電子放射断層撮影(PET)装置「頭部専用PET装置 Vrain(Vrain)」を開発したと発表した。

 患者が装置の座面に座った状態でリクライニングすると、検出器部分が頭部まで降りてきてヘルメットをかぶるような体勢で検査を受ける。既に医療機器承認を取得しており、アトックスが同日より販売を開始している。

キャプション 「頭部専用PET装置 Vrain」(左)と側面イラスト図(右)[クリックで拡大] 出所:量子科学技術研究開発機構

 PETは、患部に集まった検査薬から反対方向に放たれる2本の放射線をそれぞれ検出器で補足し、その時間差情報から検査薬の体内分布を把握する。Vrainでは画質を高めるために、検出器の時間分解能を世界最速クラスの245ピコ秒まで短縮した。その結果、1回の放射線放出で検査薬の位置を3.7cmの線分上に特定できるようになり、複数の線分を組み合わせることで、最終的に3mm以下の分解能が可能となった。

キャプション PETの同時計数(左)における時間分解能を245ピコ秒にし、検査薬の位置を3.7cmの線分上に特定(右)[クリックで拡大] 出所:量子科学技術研究開発機構

 また、検出器の数を減らしても頭部全体をカバーできるように、Vrainでは検出器を半球状に並べた。検出器の数は、従来装置の4分の1から5分の1となる。省スペース化と被曝量低減のため、従来のPET装置では必ず組み込まれていたCTを省き、従来装置の5分の1まで小型化した。

キャプション 従来のPET装置(左)と「頭部専用PET装置 Vrain」(右)の比較[クリックで拡大] 出所:量子科学技術研究開発機構

 今回発売した頭部専用PET装置は、保険適用となっている脳腫瘍やてんかんの検査に加え、アルツハイマー型認知症など認知症の診断への応用も期待される。

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