0Dモデリングとは? 理論・経験に基づく理論式・経験則が究極の1Dモデリング!?1Dモデリングの勘所(3)(2/3 ページ)

» 2022年01月20日 11時00分 公開

理論と理論式:材料力学/機械力学の例

 次に、材料力学/機械力学の事例を通して理論・理論式を考える。

 図4に示すように、柱状の構造物が荷重を受けている場合を例とする。この荷重が静的な場合には、“力と変位は比例する”というフックの法則が成立する。これが材料力学という分野で、この法則から基本形状の変位、応力を理論的に導出、理論式で示すことができる。一方、荷重が動的に作用する場合には、フックの法則に加えて、“弾性力と慣性力が釣り合う”というニュートンの「運動の第2法則」が成立し、図に示すような理論式で表現できる。種々の仮定の下、この理論式を用いることにより、例えば両端自由端を有する柱の固有振動数を、

式2 式2

と定義できる。すなわち、柱の長さL、縦弾性係数E、密度ρが分かれば、常識から簡単に固有振動数を予測することが可能となる。なお、nは正の整数(自然数)である。

材料力学/機械力学における理論と理論式 図4 材料力学/機械力学における理論と理論式[クリックで拡大]

 同様の手順で、連続体の荷重形態による分類と、その理論式と指標(固有振動数)を求めた結果を図5に示す。

連続体の荷重形態による分類と、その理論式と指標(固有振動数) 図5 連続体の荷重形態による分類と、その理論式と指標(固有振動数)[クリックで拡大]

単位について

 現象を理解、定式化していく場合には“単位”(参考文献[2])を正しく把握しておくことが重要である。

 単位は、歴史的に見ると国によってさまざまである。各国が単独で活動していた時代は、これで大きな問題はなかったが、グローバル化の時代を迎えるに当たって弊害が明らかとなった。そこで「国際単位系(SI)」を定義し、これを使用することが求められている。SIは「基本単位」「組立単位」などから構成されている。基本単位としては表1に示すように、長さ:メートル(m)、質量:キログラム(kg)、時間:秒(s)、電流:アンペア(A)、温度:ケルビン(K)、物質量:モル(mol)、光度:カンデラ(cd)の7つがある。

SI基本単位 表1 SI基本単位[クリックで拡大]

 一方、組立単位とは表1の7つの基本単位を組み合わせて、新たに定義した単位のことである。表2に主要な組立単位を示す。例えば、既に紹介したニュートンの運動の第2法則は、より正確に表現するならば“質量mの質点に力Fが作用すると、加速度aが生じ、その加速度aは力の大きさFに比例し、質量mに反比例する”となる。これを式で表現すると、

式3 式3

となる。ここで、質量1kgの物体に、1m/s2の加速度が作用したときの力を1N(ニュートン)と定義している。従って表2からも明らかなように1N=1kg・m・s−2である。

 ここで、少しややこしいのは取り扱う現象によって、単位は同じであっても呼び方が異なる点である。例えば、流体系の場合の圧力と材料力学における応力は同じPa(パスカル)である。また、エネルギー、仕事、熱量も呼び方は異なるが、全て単位はJ(ジュール)で、単位時間当たりのエネルギー、仕事、熱量が仕事率、パワー、放射束で単位はW(ワット)である。表2を見れば、このことは容易に理解できる。

主要なSI組立単位 表2 主要なSI組立単位[クリックで拡大]

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