その後2019年7月16日、フランス国民議会は、「私の健康2022年(Ma santé 2022)」(関連情報)計画を含む保健法を採択した。
同法は、保健専門職のキャリアパス現代化の観点から、学部第2学年への進学を決定する多くの条項を廃止し、多様な経路からの進学を可能にすることによって、医学や薬学、歯学、妊婦教育への進路を刷新することを目的に掲げている。その上で、以下のような課題解決策を打ち出している。
また、政府機関の機能を強化するために、以下のような施策をとるとしている。
加えてガバナンスの視点から、連帯・保健省傘下のeヘルス代表部(DNS)、国家eヘルス庁(ANS)、国家eヘルス会議、デジタルヘルス全体をカバーする委員会などによる組織的取り組みを提示している。
図1は、国家健康戦略を起点とするフランスのeヘルスのロードマップを提示したものである。
そして図2は、フランスのeヘルスロードマップのビジョンと戦略を提示したものである。
この中で、「デジタルプラットフォーム」は、デジタル保健スペースによる市民向けサービス、プロサービスパッケージによる専門家向けサービス、保健データハブによるデータ2次利用から構成される。次に、デジタルプラットフォームを支える「コアサービス」は、医療専門家/市民向けセキュア保健メッセンジャーシステム、個人医療記録、カレンダー、電子処方箋、そして調整ツールから構成される。そして、ルールや標準規格を設定する「コアレファレンシャル」は、倫理、セキュリティ、相互運用性から構成される。
さらに図3は、市民向け保健サービスプラットフォームである「MyHealthSpace」の全体像を示している。
「MyHealthSpace」は、以下の4つの機能から構成される。
図4は、「MyHealthSpace」に参画するプロバイダーの一覧であり、2021年11月23日時点で、30のプロバイダーが37のサービスを提供している。
このように、フランスの国家健康戦略の目標年である2022年は、「MyHealthSpace」の導入・展開など、eヘルスの取り組みの本格化が見込まれる一方、同年4月には、5年に一度の大統領選挙が予定されており、現職大統領のエマニュエル・マクロン氏がどのようなリーダーシップを発揮するかに注目が集まっている。
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