IoT-Engineの現在地を見定める、存在しないはずの「T-Kernel 3.0」が登場2021 TRON Symposium(1/2 ページ)

TRONプロジェクトが「IoT-Engine」の構想発表から約6年、同プロジェクトが提唱する「アグリゲートコンピューティング」を実現するオープンな標準プラットフォーム環境として展開されてきた。本稿では、このIoT-Engine関連の展示を中心に「2021 TRON Symposium」の展示を紹介する。

» 2021年12月10日 10時00分 公開
[朴尚洙MONOist]

 TRONプロジェクトが「IoT-Engine」の構想を発表したのは2015年12月のことだ。それから約6年間、同プロジェクトが提唱する「アグリゲートコンピューティング」を実現するオープンな標準プラットフォーム環境として展開されてきた。組み込み機器がIoT(モノのインターネット)機器として当たり前のように捉えられるようになった現在、IoT-Engineの役割はどのようになっているのだろうか。本稿では、このIoT-Engine関連の展示を中心に、「2021 TRON Symposium」(2021年12月8〜10日、東京ミッドタウンホール)の展示を紹介する。

Sigfoxとの組み合わせで残量監視

 NECは、IoT-Engineと同社が開発したSigfox RFモジュールを用いた「残量監視ソリューション」を披露した。例えばLPガス販売事業者の場合、検針業務としてLPガスの消費者宅へ月に一度訪問し、LPガスメーターの指針値を目視で確認した上でガスボンベの交換などを行っている。人手による検針は非効率であるとともに、ガスボンベの配送計画なども熟練技術者の知見やノウハウが必要で属人化しているという課題がある。

 残量監視ソリューションは、広域をカバーするLPWA(省電力広域)ネットワークであるSigfoxを用いて、ランニングコストを抑えながらLPガスメーターの検針業務をリモート&デジタル化できる。また、これらの検針データを基にガスボンベの配送計画もAI(人工知能)を活用して最適ルートの立案も可能だ。

「残量監視ソリューション」の概要 「残量監視ソリューション」の概要[クリックで拡大] 出所:NEC

 展示では、コロナ禍で必須となったアルコール洗浄液ボトルの重量からIoT-Engineで残量を計測し、Sigfoxでクラウドにデータを送信し、Webブラウザに表示した地図上で確認できるようにしていた。「Sigfoxを用いてLPガスメーター情報を提供するサービスは既にミツウロコと事業展開しており、配達距離20%削減、配達時間30%削減などの効果も得られている。顧客の求めるIoT無線化ユニットを早期開発する上で、標準規格化されたIoT-Engineを役立てられるのではないか」(NECの担当者)という。

「残量監視ソリューション」のデモ展示 「残量監視ソリューション」のデモ展示。IoT-EngineとSigfoxのRFモジュールを組み合わせている[クリックで拡大]

「PoC用途などでの引き合いは強い」

 シマフジ電機は、これまでに発表したIoT-Engine規格のCPUモジュールキットを披露した。ルネサス エレクトロニクスの産業機器向けマイコン「RZ/T1」を搭載する「SEMB1401」、動的再構成が可能なプロセッサ技術「DRP」を組み込んだ「RZ/A2M」を搭載するMPU「SEMB1402」、AI専用のハードウェアIP「DRP-AI」などを備えるMPU「RZ/V2M」を搭載する「SEMB1403」である。

シマフジ電機のIoT-Engine規格のCPUモジュールキット シマフジ電機のIoT-Engine規格のCPUモジュールキット。左から、「SEMB1403」「SEMB1402」「SEMB1401」の順番で並んでいる。右端にあるのは「RZ/T1」より軽量のマイコン「RX231」を搭載するIoT-Engineモジュール。手前にあるのは、SEMB1403の評価モジュールキットである[クリックで拡大]

 「Corte-R4」搭載のRZ/T1に対して、RZ/A2Mは「Cortex-A9」、RZ/V2Mは「Cortex-A53」をデュアルコアで搭載するなどプロセッサが大型化しており、IoT-Engineボードも大きくなっている。RZ/V2Mを搭載するSEMB1403では、不足しがちな電源容量をカバーするとともに、USBやイーサネットとの接続も可能になる評価モジュールキットを用意しており、好評だという。「まだ量産レベルまでは行っていないものの、PoC(概念実証)用途などでのIoT-Engine関連の引き合いは多い」(シマフジ電機の担当者)。

「RZ/V2M」のエントリーモデルとなる「RZ/V2L」のデモンストレーションも披露した 「RZ/V2M」のエントリーモデルとなる「RZ/V2L」のデモンストレーションも披露した。人の姿勢推定をおこなっているところ[クリックで拡大]
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