ソニーグループは2021年12月7日、同社が開発中の技術を紹介する「Sony Technology Day」をオンラインで開催。その中で、ロボットが未知のモノでも優しくつかむことができるようになるマニピュレーター技術を紹介した。
ソニーグループは2021年12月7日、同社が開発中の技術を紹介する「Sony Technology Day」をオンラインで開催。その中で、ロボットが未知のモノでも優しくつかむことができるようになるマニピュレーター技術を紹介した。
労働人口減少やコロナ禍によるソーシャルディスタンス確保などにより、人手作業をロボットに置き換えようとする動きが広がっている。ただ従来のロボットは、決まったモノを、プログラミングによりあらかじめ決まった動作で高速に行うことは得意でも、形が分からなかったり、変わったりするモノを扱うのは苦手としていた。
ソニーグループ R&Dセンター 坪井利充氏は「さまざまなモノを最適な形でつかむことができる人の手は、さまざまな感覚を活用することで実現している。こうした繊細な人の手を再現しようとして開発に取り組んだ」と語る。
今回開発したのは「物体を滑り落とさずにつかむ技術」と「物体にぴったり指を合わせる技術」の2つだ。
「物体を滑り落とさずにつかむ技術」は、柔らかい指先に圧力センサーを設置。圧力の分布を計測し、滑りの方向を予測するというものだ。これにより、滑る箇所の圧力を強める処理を行うことで、落とさないぎりぎりの圧力でモノをしっかり把持することができるようになる。
「物体にぴったり指を合わせる技術」については、マニピュレーターの先端に距離センサーを設置し、最適な位置でつかめるようにしたものだ。しっかりした把持を行うためには、どの位置でどこをつかむかということが重要だが、これをセンシングにより解決した。
今回の発表では、これらの技術を活用し野菜やバラの花を持つデモを行った。「簡単そうに見えるが、野菜や花は同じ種類でも全て違う形状をしており、未知のモノをつかむ能力が試される」(坪井氏)。その他、ペットボトルからプラスチック片を柔らかい紙コップに移すデモも披露し、センシング技術によりロボットの手に「感覚」を与えることで、人の手に近づけられることを示した。
坪井氏は「食品の陳列や料理など、従来ロボットでできないことができるようになる。ソニーのさまざまなAI(人工知能)をロボット技術と組み合わせさらに強化し、人と協調するロボットの開発を続けていく」と語っていた。
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