ダッソー・システムズとArdagh Group、EXXERGYは、ガラス業界における持続可能なソリューション提供に向けた協業を発表した。ガラス瓶を軽量化するコーティング技術を開発するため、バーチャル試験を開始する。
ダッソー・システムズは2021年11月9日(現地時間)、容器メーカーのArdagh Group、コンサルティング会社のEXXERGYと、ガラス業界における持続可能なソリューション提供に向けた協業を発表した。ガラス瓶の強度向上と軽量化を両立させる新しいコーティング技術を開発するため、バーチャル試験を開始する。
3社が協業して開発したコーティング技術の確立に向けて、2022年1月より、アルコール飲料メーカーDiageoのスコッチウイスキー「ジョニーウォーカー」のボトルを使ったバーチャル試験を実施する。この試験が成功した場合、同年夏に現物のテストを実施する予定だ。
強度と軽量化の検証には、バーチャルツインを使用する。バーチャルツインとは、製品またはプロセスをリアルタイムで再現すること、または再現されたものを指す。バーチャルツインで検証する試験は、現物を使う試験と比較して、時間とコストを大幅に削減し、原材料や消費エネルギーの節減にも寄与する。
今回の試験は、ガラスボトル表面の微小なひび割れを軽減する、新しい外部コーティング材の研究開発の中で実施。コーティング材の使用は、ガラス瓶の大幅な軽量化と強度向上に役立つ。また、軽量化によって、瓶の製造過程と輸送工程で二酸化炭素の排出量を削減する。さらに、今回研究中の軽量ガラス瓶は、100%のリサイクル性の達成を目指す。
Ardagh Groupはこの協業で、EXXERGYとともに、Diageo向けのコーティング技術の研究開発に取り組んでいく。ダッソー・システムズは、コーティング材のナノスケールのバーチャルツインの構築、ガラス表面に生じる相互作用のシミュレーション、有効性のテストなどに、「3DEXPERIENCEプラットフォーム」を基盤とする「BIOVIA」アプリケーションを使った委託研究サービスを提供している。
この協業プロジェクトが成功すれば、ガラス業界がサステナビリティ目標を達成する上でバーチャルツインが有効であることが立証され、業界全体での脱炭素化に寄与できるとしている。
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