インタビュー
» 2021年11月25日 06時00分 公開

“排ガス測定の堀場”はどのようにCASEに対応するのかオートモーティブ インタビュー(2/2 ページ)

[齊藤由希,MONOist]
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テストコースをバーチャルとリアルの両方で提供

MONOist 自動運転技術の評価についてはどのような取り組みがありますか。

中西氏 高速道路での分岐や合流、駐車場、市街地など、自動運転車が走行するさまざまな状況をテストコースに再現している。直径300mの円形コース、加速用の700mの直線アプローチ、自動バレーパーキング向けの複数フロアの立体駐車場などがある。路車間(V2I)、車車間(V2V)通信も可能だ。

 自動運転車の総合的な評価が行えるが、重視しているのは、より厳しい条件下での動的挙動の評価だ。想定しているシナリオよりも厳しい条件、例えば、自転車などの飛び出しを想定した設計に対しては、特殊だとしても想定よりさらに急な飛び出しでの評価が必要だ。衝突を回避できるかどうかの境目となるケースでの評価に力を入れている。

 さらに、これらのテストコースは全てモデル化しており、評価対象の車両のシミュレーションモデルをバーチャルにテストコースで走らせて、ある程度アタリをつけてから実車で確認するということも可能だ。

 自動運転やADASの評価とシャシーダイナモを組み合わせる検討も進めており、環境室で実走行中の周囲の障害物を模擬するような仕組みを開発している。

MONOist 車両が複雑化する中で、どのように開発を効率化し、開発期間を短縮できるかが問われています。

中西氏 クルマの仕上げをいかに早くできるかが、期待されている。マイラの完成車開発の知見を生かしながら、試作車を何台か作らなければならなかったフローを1台で済ませられるような提案をしていきたい。

 開発プロセスが変わる中でも、コンポーネントやシステム、車両の性能を各段階で正しく測定していく必要があり、堀場製作所のシステムも貢献する。そのコンビネーションで、画期的な開発プロセスの実現や、信頼できるデータを取りながら開発できるようにしていくということを目指している。

 HILS(Hardware In the Loop System)やシミュレーションモデルは複雑化している。交通パターンだけ見ても、気温や気圧、周囲の交通流などモデルの領域が多様で、1つのHILSでも階層が広くなる。あまりにも複雑な場合、シミュレーションのアウトプットの精度に懸念が出てくるのではないか。その対策として、1つ1つの計測データで真値を積み上げていくところに貢献したい。

 まだ世の中にない開発プロセスや手段を考えながら、そこで必要になるツールを堀場製作所がやっていきたい。自動車メーカーが必要としていることや目指していることを理解し、それにいかに貢献できるか。足りない技術があれば獲得していく。ただ、やみくもに買収して必要な技術を傘下に収めていくのではなく、堀場製作所らしさでもある計測へのこだわりを軸にしていく。

MONOist 計測機器メーカーやエンジニアリング会社で、計測技術や制御開発、シミュレーションを全て押さえようという動きが広がっています。

中西氏 そのトレンドの中で、方向性を絞らなければ生き残れないと考えている。その方向性をどのように見極めるべきか。堀場製作所とマイラの関係で強みになるのは、車両の評価を設計にフィードバックできるドライバーが複数いることだ。車両の物理的な値(オブジェクティブメジャメント)だけでなく、感性に関わるところ(サブジェクティブメジャメント)も評価してきた実績がある。

 自動車メーカーはそうしたノウハウをもちろん持っているが、それがマイラにもある。これを生かせれば、堀場製作所として差別化できるのではないか。サブジェクティブメジャメントはクルマのDNAでもある。それを理解できる強みを生かしていきたい。

MONOist 「脱エンジン」に向けた動きも加速しています。

中西氏 主力事業が小さくなることは想定しており、新しいエンジンの開発は絶対量としては減っていくとみている。しかし、エンジンを大切にする自動車メーカーもいるし、商用車のように当面は内燃機関を使うところもある。排ガス測定にこだわってきたので、エンジンを大切にする自動車メーカーをサポートしていく使命感は持っている。堀場製作所の歴史の中で、コア技術を持っておくことが新しい掛け合わせや転用していく道につながった例が複数あった。脱エンジンの中でも、コア技術を大切にする姿勢は変わらない。

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