電動化でさらにレースを面白く、時速380kmの戦い「インディカー・シリーズ」モータースポーツ超入門(11)(1/3 ページ)

時速380kmにも達する超高速スピードで競う北米最高峰のモータースポーツが「インディカー・シリーズ」だ。

» 2021年11月24日 06時00分 公開
[福岡雄洋MONOist]

 時速380kmにも達する超高速スピードで競う北米最高峰のモータースポーツが「インディカー・シリーズ」だ。

 F1(フォーミュラ・ワン)と同じタイヤが露出したオープンホイール形式のレースカテゴリーで、常設のサーキットや市街地を使ってレースを行うだけなく、オーバルトラックと呼ばれる楕円形のコースで開催されるのが特徴だ。F1モナコグランプリ、ル・マン24時間レースとともに世界三大レースと呼ばれるインディ500(インディアナポリス500マイルレース)を抱え、米国ではストックカーレースのNASCAR(ナスカー)と並ぶ人気を誇る。

 2023年シーズンからはハイブリッドシステムを搭載することが決まっており、環境対応とエンターテインメント性の強化を打ち出していく。

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国民的ビッグイベントとして愛されるインディ500

 インディカーの歴史はインディ500とともにあると言っても過言ではない。第1回大会は1911年(明治44年)に開催され、世界三大レースの中でも最も古い歴史を持つ。1917、1918年は第一次世界大戦、1942〜1945年は第二次世界大戦で中止を余儀なくされたものの、この6回以外は継続して開催しており、2021年で第105回大会を迎えた。レースは1909年に建設されたIMS(インディアナポリス・モーター・スピードウェイ)で行われる。

 インディ500は米国人にとって特別な日に行われるビッグイベントの1つだ。第1回大会から毎年5月30日の祝日、メモリアル・デー(米国戦没将兵追悼記念日)に開催されてきたためだ。現在は1971年に行われた祝日の変更でメモリアル・デーが毎年5月の最終月曜日と規定されたため、インディ500はその前日の日曜日に行われることになっている。

 アメリカンモータースポーツを象徴するインディ500だが、そのスケールは桁外れに大きい。決勝日には約40万人の観客が結集。優勝したドライバーには300万ドル(3億4160万円)を超える賞金が与えられる(コロナ禍の影響で2020年は無観客、2021年は入場が13万5000人に抑えられ、優勝賞金も200万ドル以下=2億2770万円以下だった)。

 この国民的ビッグイベントで、2017年、2020年には佐藤琢磨選手が優勝している。

2020年のインディ500を制した佐藤琢磨選手(先頭のマシン)[クリックで拡大] 出所:ホンダ
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