この他にもロボット開発に求められるソリューションをハードウェアやソフトウェアをまとめたパッケージとして展開している。
機能安全対応無線非常停止パッケージは、工場の機械や設備などの非常停止機能を自律移動する農機や建機、AGVが備えられるようにするために開発された。920MHz帯を用いた無線通信により混信が少なく遠距離からの制御が可能で、無線通信途絶監視や電源監視などの自己診断/監視機能も備えている。その上で、日本品質保証機構(JQA)による制御システムの安全関連部に用いられる標準規格ISO 13489-1のコンセプト評価も受けている。
ハードウェアとしては、非常停止ボタンを備える送信機と、さまざまな入力装置やロボットとの接続が可能な送受信兼用機を用意している。非常停止ボタン型送信機は乾電池(単三電池3本)で動作する。高橋氏は「1人で複数台を止める、もしくは複数人で1台のロボットを監視して止められるようにする、といった使い方にも対応できる」と説明する。
人物検知AI(人工知能)カメラシステムは、人の検知に特化して誤検知を低減したカメラシステムで主に建機向けとなる。実際に、大成建設との実証実験で用いられるなどの成果が出ている。「建設現場で働く作業員の検知に特化して深層学習を重ねたAIを用いており、未検知や誤検知が極めて少ない。実証実験などで取得したデータでは90%代後半レベルの高い検知精度を確認している」(高橋氏)という。
システムの処理を行うハードウェアは、建機への搭載が可能な温度や振動、耐水性などの性能を満足する市販品がないため独自に開発した。これに魚眼カメラを接続して使用するが、建機の全周囲をカバーできるように6台までのカメラ接続に対応している。主なユーザーとしては、建機メーカーはもちろん、建機のレンタル会社なども想定している。
ここまでは、自律移動ロボット関連のソリューションとなるが、協働ロボットを主な対象とするピースピッキング向け簡単SIコントローラーも開発している。これは、ワークを画像認識して自動でピースピッキングするロボットの導入を現場で簡単に行えるようにするためのものだ。高橋氏は「すごく早くすごく正確にということを突き詰めないのであれば、かなり簡単に自動ピースピッキングができるようになる」と強調する。
実際に、ロボットアームに装着したカメラの画像を見ながら、ブラウザ画面上でピッキングするワークをドラッグ&ドロップして設定するだけで自動ピースピッキングが可能になる。ワークの再設定も簡単に行えるので、切り替えが多い生産ラインでの利用に最適だという。
現在はサンプル提供の状況で、参考システムとしてはユニバーサルロボットを挙げているものの、他メーカーのロボットでも動作を確認している。「最近の産業用ロボットのコントローラーは、外部からの制御を可能にするポートを搭載するようになっており、今回の簡単SIコントローラーではこのポートを利用している。特定メーカーのロボットに縛られがちなロボットSIerにとって、こういった簡単SIコントローラーのニーズは多いのではないか」(高橋氏)としている。
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