最新のKING 3D Printed Putterシリーズでは、HPのMJF方式3Dプリンタとナイロン素材を用いて、パターの内部に組み込まれる格子状のカートリッジを製造している。
このナイロン素材で3Dプリントされた格子状のカートリッジは、中心部の不要な質量を取り除き、軽量化を実現する他、振動の軽減にも効果を発揮する。さらに、その周辺を金属製のパーツ(クラウン、シャシー)で覆うマルチマテリアル構造を採用し、ウェイトを組み合わせることでシャシー内の重量配分の最適化を実現し、パッティングの安定性と正確なボールの転がりを助ける。
また、デザイン面でも、3Dプリント技術を採用したことによる優位性が発揮されているとし、西川氏は「3Dプリント技術によって、同じような形状のパターでも、従来よりも大胆でクールなデザインを作り出せる」と語る。
実際の製品化に関しては、まず2020年に数量限定モデルとして「業界初」(西川氏)となる3Dプリント技術を採用したパターを販売した。そして、2021年4月に3Dプリント技術を採用した製品の第2弾として、バックフェースのメダリオン(メーカーロゴなどが入った板状の部品)を3Dプリントした「KING RADSPEED IRONS」を発売。そして、同年7月に、3Dプリント技術採用製品の第3弾として、前述したKING 3D Printed Putterシリーズを発売している。
KING 3D Printed Putterシリーズでは、ブレード形状の「GRANDSPORT-35」、角型マレットの「SUPERNOVA」、ネオマレットの「AGERA」と、特色のある3つのヘッドタイプを展開。ぞれぞれ、ナイロン素材の3Dプリント製カートリッジをヘッド内部に搭載することで、パッティング時の安定性を高めている。
通常、パッティングを行う際、クラブの芯(スイートスポット)から外れてボールを打ってしまうと、ヘッドがぶれて、ボールを思い通りにコントロールすることができない。しかし、同シリーズでは、前述したマルチマテリアルによる構造的な特性によって、優れた慣性モーメントを実現し、一般的なパターよりもぶれが少なく、安定したパッティングが行えるという。
具体的には、ツアーでも人気のある通常のウェイト付きブレード形状パターの慣性モーメントが約4000g・cm2であるのに対して、GRANDSPORT-35は4908g・cm2。同じく、一般的な角型マレットタイプのパターの慣性モーメントが約3800g・cm2であるのに対して、SUPERNOVAは5708g・cm2とより大きな値となっている。そして、大型のネオマレットタイプのパターの慣性モーメントが約5000g・cm2であるのに対して、AGERAは7648g・cm2と高い慣性モーメントを実現している。
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