東芝は、オンラインで会見を開き、同社が展開するIoTプラットフォーム「SPINEX」や、製造業向けIoTソリューション「Meisterシリーズ」などを支える自社開発のデータベースシステム「GridDB」について説明した。
東芝は2021年10月15日、オンラインで会見を開き、同社が展開するIoT(モノのインターネット)プラットフォーム「SPINEX」や、製造業向けIoTソリューション「Meisterシリーズ」などを支える自社開発のデータベースシステム「GridDB」について説明した。
GridDBの説明を行ったのは東芝デジタルソリューションズ ICTソリューション事業部 新規事業開発部 シニアエキスパートの望月進一郎氏である。望月氏はまず、ITシステムにおけるデータの入れ物であるDBMS(Database Management System)の市場で起こっているトレンドについて紹介した。
2000年ごろまでにDBMSとしてさまざまなシステムが生まれてきたが、現在最も広く利用されているのはデータを表の形で管理するRDB(Relational Database)である。RDBを操作・制御するためのデータベース言語であるSQL(Structured Query Language)が国際標準として規格化されていることもあり、さまざまなベンダーがSQL対応のRDBを展開しており「まさにDBMSの王者」(望月氏)といえる存在だ。
一方、2000年代に入ってからは、SQLに基づくRDBではないDBMSである「NoSQL(Not Only SQL)」が台頭してきた。RDBでは管理が難しいビッグデータやIoTデータの管理を目的としており「DBMSとしては新参者。当社のGridDBもこのNoSQLの一つになる」(同氏)という。
NoSQLが台頭してきた背景には、従来のITデータとは特性の異なるビッグデータやIoTデータの存在がある。IoTデータとして代表的な時系列データの場合、「ミリ秒オーダーで高頻度に発生」「データ一貫性の保証」「発生直後からリアルタイム参照」「24時間365日絶え間なく発生」「大量データが単調増加」などの特徴があるが、これらのデータを管理するのにRDBは適しているとは言い難い。特に、大量データの増加に対応する拡張性の面において、RDBは高性能なハードウェアに置換しなければならない「スケールアップ」が必要になるのに対し、NoSQLはサーバを追加するだけの「スケールアウト」で対応できる点でコストメリットが大きい。
その一方で、RDBは長年の実績に基づく信頼性と多くのアプリケーション開発者に支持されているSQLというAPIがあるというメリットがある。NoSQLは、信頼性で不安のあるオープンソースソフトウェアが多く、APIも独自のものを用意していたりする。望月氏は「このためRDB派とNoSQL派で綱引きが起こることもある」と語る。また、市場全体のトレンドを見ると、日本国内ではRDBが圧倒的に人気があるものの、グローバルではNoSQLの台頭が鮮明になりつつあるという。
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