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» 2021年08月23日 10時00分 公開

ボルトの締め付けトルクを決める設計者向けCAEを使ったボルト締結部の設計(6)(3/5 ページ)

[高橋良一/RTデザインラボ 代表,MONOist]

ボルトに発生する軸力の計算

 せっかくなので、ここまでの内容をExcelシートに落とし込んでみましょう。M10のA2-70ステンレスボルトの場合、表2のようになります。表に式を書いておきましたので参考にしてください。前回述べた理由から、応力の単位として[N/mm2]を使わず[MPa]を使うので、長さの単位は[m]としました。

ボルト諸量の計算シート 表2 ボルト諸量の計算シート [クリックで拡大]

 表2のExcelシートの使い方を説明します。色が付いていないセルが数値を入力できるセルです。青色のセルは計算式が入りますので数値を入力してはいけません。オレンジ色のセルは特別なセルです。

 ここではExcelの「ゴールシーク」という機能を使っていきます。ゴールシークとは逆算する機能です。例えば、円の直径を求めるExcelシートを表3に示します。円の面積は簡単に計算できると思います。それでは、面積が1[m2]となるような直径を、ゴールシーク機能を使って求めてみましょう。青色のセルにカーソルを合わせて、図5に示すように、メニューの[データ]−[What-if分析]−[ゴールシーク(G)]をクリックします。

円の面積を求めるExcelシート 表3 円の面積を求めるExcelシート [クリックで拡大]
ゴールシークの呼び出し方 図5 「ゴールシーク」の呼び出し方 [クリックで拡大]

 図6のようなウィンドウが現れるので、数式入力セルとして面積を求めるセル、目標値を1[m2]、変化させるセルを直径が入力されているセルとして、[OK]ボタンを押します。すると、面積の値がほぼ1[m2]となって、直径の値が1.128[m]と求まります。

ゴールシークの使い方 図6 ゴールシークの使い方 [クリックで拡大]

 Excelでゴールシークが出てこない場合は、メニューの[ファイル]をクリックし、[オプション]−[アドイン]−[設定(G)]をクリックして、図7のウィンドウを出して、「ソルバーアドイン」にチェックを入れてください。これでゴールシークが使えるはずです。

Excelのアドインを追加する方法 図7 Excelのアドインを追加する方法 [クリックで拡大]

 では、表2を使って強度区分12.9のボルトの軸力を求めてみましょう。締め付けトルクは2.4T系列の59[Nm]を採用します。表1において、σBを1200[MPa]、σyを1080[MPa]に変えてゴールシークを起動します。数式入力セルを「締め付けトルク」、目標値を59[Nm]、変化させるセルを「軸力」として[OK]ボタンを押します。すると、図8に示すように、軸力が41128[N]と求まり、降伏応力比は70.3%となりました。

 同様の手順で、降伏応力比がちょうど70%になるような締め付けトルクも求めることができます。

強度区分12.9のボルトの軸力の計算 図8 強度区分12.9のボルトの軸力の計算 [クリックで拡大]

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