このような中でCOVID-19の感染拡大は、自然災害のような局所的被害ではなく、世界全体に予測不可能な形で被害をもたらした。製造業におけるCOVID-19の感染拡大による業務内容への影響については「営業・受注」といった需要面の影響が最も大きい一方、「生産活動」「調達」「物流・配送」などの供給側にも影響し、サプライチェーンの正常な稼働にも支障をきたしている(図7)。
今後も世界的な「不確実性」の高まりが想定される中、2021版ものづくり白書では、自社の被害想定だけでなく、サプライチェーン全体を俯瞰し、調達先の分散など、多面的なリスク対応を通じてレジリエンスを強化していくことが重要だと述べている。現実問題として多くの企業が自社単独で策定するBCP自体には限界があると認識しており(図8)、このような状況からニューノーマルにおけるBCPは「オールハザード型」とも称される内容に変容していくことが重要だとしている。
2021年版ものづくり白書では、オールハザード型のBCPを構成する行動計画について、企業のリスクマネジメントコンサルティングを提供するニュートン・コンサルティングの考え方を紹介している(図9)。
特に「事業継続計画」で示すリソースベースの考え方は、今後災害に限らずあらゆる不確実性を想定しなければならないニューノーマルにおいては非常に重要になる。さらに、これらを支えるデジタル化の取り組みは、危機時のリソースの確保につながるものとして理解、実施されることが極めて重要だとしている(図10)。
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