オムロンは2021年8月2日、AI(人工知能)関連技術や独自の照明技術を活用し、設定工数の大幅削減や、不良の原因究明に貢献する基板外観検査装置「VT-S10シリーズ」を同年8月5日からグローバルで発売すると発表した。
オムロンは2021年8月2日、AI(人工知能)関連技術や独自の照明技術を活用し、設定工数の大幅削減や、不良の原因究明に貢献する基板外観検査装置「VT-S10シリーズ」を同年8月5日からグローバルで発売すると発表した。
5GやEV(電気自動車)、自動運転などにより、使用される電子基板の需要が増えるとともに複雑性は増している。電子基板の高密度化、微細化が進むことで検査難度が上がっており、基板外観検査装置にもより高精度な性能が要求されている。一方で、製造現場では、熟練者不足など人手不足が深刻化しており、人の目による目視検査の削減や、外観検査装置の設定や立ち上げ時の負荷軽減などが求められている。
こうしたニーズに応えるためにオムロンが開発したのが基板外観検査装置「VT-S10シリーズ」である。「VT-S10シリーズ」は高速、高精度の電子基板外観検査を行える一方で、設定工数の削減や、目視工数の削減、不良の根治にも貢献する機能を備えていることが特徴である。これらを実現した技術要素は主に3つある。
1つ目が、オムロン独自の撮像技術である「MDMC(Multi Direction Multi Color)」撮像技術である。これは、照射角度、色、光量を自在に制御し、さまざまな照明や角度から撮像する。これにより、従来の撮像方式に比べ、はんだの形状をより正確に捉えるものだ。隣接する背高部品の影の影響排除や基板上のパターンや部品面上の印字を正確に捉えることが可能となった。「従来技術では1つの照明、1つの角度で1枚の撮影を行う間に、MDMCを活用することで、さまざまな照明や角度など50枚の撮影を行うことができる。これらを組み合わせることでより正確なはんだ形状を簡単に把握できるようになる」(オムロン)。
さらに従来の外観検査装置では、正確性だけではなく求める検査精度を実現するためには立ち上げ時に照明やセンサーなどのさまざまな設定を試行錯誤する必要があったが「MDMC」撮像方式を活用することで、照明の照射角度、色、光量を自動で最適制御できるようになるため、個々の設定を厳密に追い込むことなく求める検査精度を実現できるようになる。「先行顧客との実証実験の結果では、設定工数が約70%削減できたケースもある」(オムロン)としている。
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