前後編の2回にわたって「ロボットオフラインティーチング(Robot Offline Programming、OLP)」のメリットや実践のポイントについて事例なども交えて紹介する本連載。後編では、OLPを製造現場で機能させるために必要な導入ステップと、実際の製造現場で得られた成果について解説します。
ロボットオフラインティーチング(Robot Offline Programming:以下、OLP)は、単にロボットプログラムを「現場以外で作る」技術ではありません。OLPの導入においては、CADデータの扱い方、現実と仮想空間を一致させるための調整、関係部門の役割分担など、事前準備と運用設計が成果を左右します。
前編ではOLPの基礎と背景、そして従来の手法であるオンラインティーチングの課題について整理しました。後編となる本稿では、OLPを製造現場で機能させるために必要な導入ステップと、実際の製造現場で得られた成果について、導入事例も交えて解説します。
OLPは多くのロボットアプリケーションに適用できますが、導入には幾つかの準備が必要です。最も基本的なのは作業セル、部品、ツール、治具などのデジタルモデルをそろえることです。これらが3D CADデータとして用意されていることが前提となります。
今日では、ほとんどの製造業でCAD設計が標準化されているため、基本データの準備自体は大きな障壁ではありません。OLP導入の準備には、特に次の2点が鍵となります。
OLPでは、ロボット本体だけでなく、ワーク、治具、周辺設備、安全柵などを含めたセル全体の3Dモデルが必要になります。モデルの精度が低いと、シミュレーション結果と実機動作の差が大きくなり、再調整の手間が増える原因になります。
設計CADデータには、生産で使わない詳細情報や不要な要素が含まれることがあります。OLPに適したモデルを作るには、目的に応じて必要な要素を整理、簡略化しつつ、動作に影響する部分は正確に反映することが重要です。
これらの準備を通じて、設計部門と製造現場の間で情報共有が進み、OLPを実際に運用するための基盤が整います。
OLP導入は次のようなプロセスで進められます。
CADデータをOLPソフトウェアに取り込み、作業セル全体を仮想環境に再現します。
仮想環境上でロボットの動作パスを設計します。溶接、塗布、ピッキングなどの対象作業に応じて動作経路を定義し、必要に応じて経路点や姿勢を指定します。
ソフトウェアでシミュレーションを実行し、干渉や範囲外動作がないかを検証します。問題があれば修正を行い、動作パスの妥当性を高めます。
シミュレーションで問題がなければ、ロボットコントローラー用のプログラムに変換し、実機にダウンロードします。低速テストで最終確認を行い、本番運用に移行します。
このフローは、仮想環境での検証と実機での動作確認を組み合わせることで、製造現場での試行錯誤を大幅に減らすことができます。
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