住友ゴム工業は、加古川工場で生産している港湾岸壁用のゴム防舷材の検査と、南アフリカ子会社で生産している新車装着用タイヤについて、品質管理に関わる不適切事案が判明したと発表した。防舷材、タイヤとも、事案の判明後に安全性についての検証を行い問題のないことを確認しているという。
住友ゴム工業は2021年7月30日、加古川工場(兵庫県加古川市)で生産している港湾岸壁用のゴム防舷材の検査と、南アフリカ子会社で生産している新車装着用タイヤについて、品質管理に関わる不適切事案が判明したと発表した。防舷材、タイヤとも、事案の判明後に安全性についての検証を行い問題のないことを確認しているという。
加古川工場では、医療用精密ゴム、OA機器用精密ゴム部品、制振ダンパー、防舷材、ガス用ゴム管などを生産している。今回、不適切検査が判明したのは、船舶や港湾の岸壁の破損を防止するため、接岸する船舶に掛かる衝撃を吸収して緩和するエネルギー吸収材である防舷材である。住友ゴム工業が2021年6月に実施した品質総点検によって判明した。
具体的には、船舶接岸時に起きる防舷材の圧縮状態を再現して圧縮性能を確認する試験において、国際航路協会の定めた試験方法などのガイドラインとは異なる試験方法で実施したり、データの変更を行っていたりしていた。不適切検査を経て出荷した数量は、2016年5月以降で500物件(5389基)を確認している。これ以前の出荷分についても調査中だという。
不適切検査が判明した後に、対象となる防舷材が設置された港湾の側および接岸する船舶の側がそれぞれ破損する可能性について、実際の使用環境下で想定される船舶の接岸速度を用いて自社で安全性の検証を行い、問題がないことを確認した。今後も、外部機関による安全性検証を行う予定。なお、過去の出荷実績でも、防舷材の性能不足により港湾や船舶が破損した事例は確認されていない。
2021年6月16日には、同社 社長の山本悟氏を委員長とする緊急対策委員会を設置し、出荷済み製品の安全性を確認するとともに、早期に問題解決を図るべく対応を進めているところだ。今後、外部弁護士を加えた特別調査委員会による社内調査を実施し、原因究明を行った上で再発防止策を策定していくとしている。
一方、南アフリカ子会社での不適切事案は、南アフリカ共和国クワズール・ナタール州にあるSumitomo Rubber South Africaで発生した。2017年8月〜2021年5月にかけて出荷していた南アフリカ製新車向けのタイヤ約40万本(車両8万台相当)の一部において、顧客との取り決めに基づいて定めた仕様と異なる製品が出荷されていた。
仕様の相違は2点あり、1点はタイヤの寸法(真円度)や重量・剛性などの均一性を示すユニフォミティの検査規格値、もう1点は一部製品におけるタイヤをホイールに組み付けるときにタイヤ側に接触する部分に当たるビード部の形状である。
不適切事案が判明した後に、公的試験(法規で定められた試験方法)を用いた社内検証を行っている。その結果、リム外れ抗力試験(FMVSS139)に関する法規適合性を満たしており、これまでに出荷した対象製品の安全性に問題がないことを確認した。
2021年6月3日には、同社 社長の山本悟氏を委員長とする緊急対策委員会を設置しており、早期に問題解決を図るために対応を進めているという。既に、外部弁護士を加えた特別調査委員会による社内調査を開始しており、原因究明を行った上で再発防止策を策定していくとしている。
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