曙ブレーキは2021年2月16日、同社の国内製造子会社で製造する自動車用ブレーキ製品における検査結果の改ざんや不適切な数値記載における、調査結果と再発防止策について発表した。不正検査は約20年にわたって行われ、対象製品に関係する全検査報告数の19万2213件数の内、半数以上となる11万4271件で不適切な行為が確認されるなど、組織として常態化していた問題点が指摘されている。
曙ブレーキ工業(以下、曙ブレーキ)は2021年2月16日、同社の国内製造子会社で製造する自動車用ブレーキ製品における検査結果の改ざんや不適切な数値記載における、調査結果と再発防止策について発表した。不正検査は約20年にわたって行われ、対象製品に関係する全検査報告数の19万2213件数の内、半数以上となる11万4271件で不適切な行為が確認されるなど、組織として常態化していた問題点が指摘されている。
曙ブレーキでは2019年11月に社内の報告により、製造子会社の検査不正が発覚。2020年3月から社外弁護士4人で構成される特別調査委員会による調査を行ってきた。特別調査委員会からの最終報告は2020年9月にあったものの、不正検査の対象製品における強度、耐久性などの試験による再評価を2021年1月末まで実施していたため、このタイミングでの発表となった。
調査の結果、自動車ディスクブレーキ、自動車用パッド、自動車用ドラムブレーキ、自動車用ライニングの4製品に関わる検査で不適切な行為が行われたことが明らかとなった。また、これらの製造に関わり不正検査に関わった事業所は、曙ブレーキ山形製造、曙ブレーキ岩槻製造、曙ブレーキ福島製造、曙ブレーキ山陽製造の4つの工場である。その他の国内工場である館林製造所と羽生本社地区については、調査対象となったが不適切行為はなかったという。
対象の製品において、顧客企業から指定された定期的に検査を行う項目は50あり、外観、寸法、性能(機能)、材質、質量および表示などの検査項目が設定されていた。検査項目ごとに、製品仕様として準拠しなければならない管理値を設定している。これは検査データの許容限度であり、主に基準となる中央値から等しく離れた上限値と下限値が設定されている。
また、量産段階で実施する検査としては、日常検査と指定検査の2つの種類がある。日常検査は量産開始後、曙ブレーキにおいて製品品質を保証するために製造工程内で常時行う検査であり、顧客からの要請がない限り報告は行わない。一方で指定検査は、顧客から報告を要請される検査のことだ。定期的に報告を要請されるものと臨時に報告を要請されるものがある。
これらの検査において、具体的に行われた不適切な行為には、以下の3つのパターンがあった。
残存する検査データの中で、最も古い不適切な行為は2001年1月から行われており、約20年間も不正検査が行われてきたことになる。検査項目は50項目で定期報告データの総件数は19万2213件だという。その内、不適切行為が行われた検査項目数は36で、報告データは11万4271件に及ぶ。その多く(95.7%)は顧客の管理値内ではあったものの、4.3%に当たる4931件は管理値外となっており、要求品質を満たしていない製品を出荷したことになる。
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