これらデジタル技術をあらゆるところに活用している工場だからこそ、ネットワークセキュリティにもさまざまな工夫を取り入れている。オフィスネットワークをスター型トポロジー、生産現場の生産ネットワークをリング型トポロジーで構成し、ネットワークそのものの冗長性を確保する他、生産ネットワークにはシーメンスの製造現場向けネットワークセキュリティ技術を取り入れている。一般的なアクセス制御、ファイアウォール、統合脅威管理などに加え、工場内のネットワークを加工ゾーンごとにセル分けし、それぞれにエッジ側ファイアウォールを設置することで、外部だけではなく内部からの攻撃にも備えている。
南相馬工場では、これらのデジタル技術を生かしたスマート化の特徴に加え、自動化を進めるさまざまな加工機などを導入している。5軸制御マシニングセンタを中心に、マシニングセンタは11台導入する他、NC旋盤・研磨機は4台を用意する。3Dプリンタは樹脂用が1台、金属粉末積層造形型が2大導入している。その他、放電加工機や溶接機なども各種取りそろえている。検査装置も3次元測定器やハイトゲージなども含めて用意した。「検査機器などはもっと多くの機種を用意する予定だったが、福島ロボットテストフィールドとの連携で賄える部分も多いことが分かり台数を抑えた。南相馬内での連携を進めていく」と金谷氏は語っている。
今後に向けて、天野氏は「変種変量生産でも24時間全自動稼働が行えるモデル工場としていく。今後のニーズを考えると変種変量が当たり前となっていく。その中で、工場内でのエンジニアが減る中で自動化は必須となってくる。ロボコム・アンド・エフエイコムとして、これらの自動化を支えていく一方で、南相馬工場で新たな工場の姿を発信していく。製造現場での仕事をかっこよくしていくことで、製造業があらためて憧れられる職業としていくことに貢献していきたい」と抱負を語っている。
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