特集:IoTがもたらす製造業の革新〜進化する製品、サービス、工場のかたち〜
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» 2021年07月05日 12時30分 公開

福島から世界へ、デジタルツインで24時間稼働する理想の変種変量工場スマート工場最前線(2/3 ページ)

[三島一孝,MONOist]

製品ごとの稼働監視や産業廃棄物計量を実施

 カーボンニュートラルについては主に4つの取り組みを進めている。「自家消費型太陽光発電システムの導入」を行う他、「電気自動車(充電ステーション2基)の導入」「製品単位での原単位管理(稼働監視システムによるクラウド管理)」「産業廃棄物軽量システム(切粉回収AGVシステムなど)の導入」を行っている。また将来的には、太陽光蓄電池システムの導入と再生可能エネルギーによる電気の外部調達なども検討しており、カーボンニュートラルを実現する計画だ。

photo 太陽光発電システムと電気自動車設備(クリックで拡大)出典:ロボコム・アンド・エフエイコム

 産業廃棄物自動計量システムは、金属加工などで発生する切粉をAGV(無人搬送車)で自動回収する仕組みに重量計測を組み込み、回収した切粉の重さを記録できるようにしたものだ。これにより人手を介さずに切粉(産業廃棄物)の量を把握することができる。

photo 産業廃棄物自動計量システムの仕組み(クリックで拡大)出典:ロボコム・アンド・エフエイコム

 原単位管理については工場全体で把握している工場は多いが、全ての機械の稼働状態や、生産管理システムなどサプライチェーンやエンジニアリングチェーンに関連する一連のITシステムを連携させていることで、製品個々の原単位管理が行えるようにしていることが特徴だ。例えば、電気使用量は加工機と空調、照明と稼働監視システムで算出した加工時間をかけ合わせて把握する。また水使用量やエアー使用量はそれぞれの流量と加工時間で把握する。加工廃棄量は先述した産業廃棄物自動計算システムなどのデータを基にAI見積もりシステムにより算出しているという。

 ロボコム・アンド・エフエイコム 代表取締役の飯野英城氏は「全てをデジタル上で管理できるようにしていることでさまざまな情報を一元的に把握でき、それを個別に判断することができる。バーチャルとリアルを緊密に連携させていることが特徴だ」と語っている。

デジタルツインで販売から生産設備まで連動した生産システム

 カーボンニュートラルへの取り組みでも活用されているが、南相馬工場の特徴はリアルでの動きが全てデジタル基盤上に反映されており、これらの各工程でのシステムもそれぞれが連携できる仕組みとなっていることが特徴である。これら生産システムが全てデジタル化されていることにより、変種変量の受注を短納期で生産することと可能としている。

 具体的には、CADなどで設計された製品図面や設備図面からBOP(Bill of Process)を作成し、シミュレーションなどを通じて検証を行い、動作プログラムを構築する。ここから、統合MES(製造実行システム)により動作プログラムを実行し、リアルの全自動ロボット加工ラインを稼働させる。この加工ラインの情報をさらに監視システムを通じてデータクラウドに蓄積し、そこからさらに分析を行うサイクルを構築する。これにより「変種変量生産でありながら人手をかけずに全自動で24時間稼働が行えるようになる」とロボコム・アンド・エフエイコム 取締役の金谷智昭氏は述べている。

photo DX加工システムの概要(クリックで拡大)出典:ロボコム・アンド・エフエイコム
photophoto 全自動ロボット生産ラインの様子(左)とデジタルツインで再現された加工ラインの様子(右)(クリックで拡大)出典:ロボコム・アンド・エフエイコム

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