発表から4年、FormlabsがついにSLS方式3Dプリンタ「Fuse 1」の国内提供を開始3Dプリンタニュース(1/3 ページ)

Formlabsは、粉末焼結積層造形(SLS)方式3Dプリンタ「Fuse 1」を国内市場向けに提供開始したことを発表した。Fuse 1と併せて、後処理を担うパウダー回収ステーション「Fuse Sift」、専用パウダー材料「Nylon 12 Powder」「Nylon 11 Powder」、各種消耗品などの提供も行う。

» 2021年06月01日 10時00分 公開
[八木沢篤MONOist]

 Formlabsは2021年6月1日、粉末焼結積層造形(SLS:Selective Laser Sintering)方式3Dプリンタ「Fuse 1」を国内市場向けに提供開始したことを発表した。Fuse 1と併せて、後処理を担うパウダー回収ステーション「Fuse Sift」、専用パウダー材料「Nylon 12 Powder」「Nylon 11 Powder」、各種消耗品などの提供も行う。同日から国内正規販売代理店を通じて受注、出荷を開始する。

「Fuse 1」を核とする3Dプリンティングシステム。左がSLS方式3Dプリンタ「Fuse 1」、右がパウダー回収ステーション「Fuse Sift」 「Fuse 1」を核とする3Dプリンティングシステム。左がSLS方式3Dプリンタ「Fuse 1」、右がパウダー回収ステーション「Fuse Sift」 ※画像提供:Formlabs [クリックで拡大]

Formlabsとして“初”となるSLS方式3Dプリンタ「Fuse 1」

 これまで同社は、光造形(SLA:Stereolithography Apparatus)方式の3Dプリンタ「Formシリーズ」を展開してきたが、試作用途での利用にとどまらず、最終製品/最終パーツ製造で3Dプリンタを活用したいといった声に応える形で、SLS方式のFuse 1の提供に踏み切った。主なターゲット領域としては製造業全般で、特に自動車や航空宇宙分野での普及に期待を寄せる。

 同社は、Fuse 1を核とする3Dプリンティングシステムによって、素材から造形、後処理までをエンドツーエンドでカバーするシンプルなSLSワークフローを提供するとしている。“生産も可能なソリューション”として、同社は大型造形ニーズに対応するSLA方式3Dプリンタ「Form 3L」(独自の「LFS:Low Force Stereolithography」技術を搭載)を提供してきたが、ここにFuse 1が加わったことで、長年の実績を誇るSLAに続き、SLSの本格展開を開始する。

光造形(SLA)に続き、粉末焼結積層造形(SLS)の本格展開を開始するFormlabs 光造形(SLA)に続き、粉末焼結積層造形(SLS)の本格展開を開始するFormlabs ※出典:Formlabs [クリックで拡大]

 実は、Fuse 1の発表自体は4年前(2017年)に行われていたが、同社にとって初となるSLS方式ということもあり、材料であるパウダーの扱いや温度管理、熱安定性といった品質や精度に関わるさまざまな調整と作り込みに時間がかかり、発表前からの開発期間と合わせてトータル7年の歳月を要してようやく完成にこぎ着けた。なお、北米では2021年1月に先行してFuse 1の提供開始を発表している。

「Fuse 1」の特長と主な仕様

 Fuse 1は、自由度の高いデザイン、生産性やスループットの高さ、部品当たりのコストの低さといったSLS方式ならではの特長は当然ながら、これまでのFormシリーズと同様に、性能と入手性のバランスが取れた製品となっており、使い勝手の良い直感的なワークフロー、運用やメンテナンスの省力化/効率化などが図られている。

 また、Fuse 1による造形では、半焼結シェルを生成してパーツ表面を保護しながら造形を行う「Surface Armorテクノロジー」(特許出願中)により、造形したパーツの品質や機械的特性を確保する。

「Fuse 1」について 「Fuse 1」について ※出典:Formlabs [クリックで拡大]

 Fuse 1の本体サイズは1255×1495×1870mmで、重量は114kg。造形エリア(ビルド容積)は165×165×300mmで、Nylon 12 Powderを使用した場合の最大造形サイズは159×159×295mmとなる。積層ピッチは110μmで、レーザー焦点サイズは200μm。素材のリフレッシュレートは30〜50%で、Nylon 12 Powderの場合は未使用素材30%、再利用素材70%の比率で造形を開始できる。本体には、最大9kgのパウダーを貯蔵することが可能だ。

 Fuse 1本体の販売価格(税込み)は284万3500円。その他、専用のビルドチャンバー(Fuse 1 Build Chamber)が58万5200円、パウダーカートリッジ(Fuse 1 Powder Cartridge)が1万9800円、Fuse 1の専用スタンド(Fuse 1 Printer Stand)が3万9600円で別途用意されている(いずれも税込み価格)。

※訂正:メーカー提供の価格に誤りがあったため本文の一部を修正いたしました。[2021年6月2日16:25]

 本体前面にはタッチスクリーンが備わっており、表示されるガイダンスに従いながらプリント準備や開始、メンテナンス作業などを着実にこなすことができる。また、造形するモデルの配置や向きの自動最適化、パッキングなどは、Formシリーズでもおなじみの専用ソフトウェア「PreForm」上で行える。

使い勝手の良い直感的なワークフロー(1)使い勝手の良い直感的なワークフロー(2) 使い勝手の良い直感的なワークフローを実現する「Fuse 1」 ※出典:Formlabs [クリックで拡大]
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