人間らしく会話を続けるGoogleのLaMDA、自動車で使える日が待ち遠しい自動車業界の1週間を振り返る(1/3 ページ)

土曜日です。1週間、お疲れさまでした。じめじめした憂鬱な天気が続きますね。ここ数年は大雨に関連した災害のニュースが目立ちます。何事もなく雨の季節が終わるのが一番ですが、何事もないことを祈るばかりでは仕方ありませんので、少しでも備えておきたいですね。

» 2021年05月22日 08時00分 公開
[齊藤由希MONOist]

 土曜日です。1週間、お疲れさまでした。じめじめした憂鬱な天気が続きますね。ここ数年は大雨に関連した災害のニュースが目立ちます。何事もなく雨の季節が終わるのが一番ですが、何事もないことを祈るばかりでは仕方ありませんので、少しでも備えておきたいですね。

 今週もいろいろな出来事がありましたが、まずはGoogle(グーグル)の開発者向け年次イベント「Google I/O」のお話を。2時間近いキーノートの中でさまざまな話題が取り上げられましたが、個人的に印象的だったのは、「LaMDA(Language Model for Dialog Applications)」という自然言語処理に関する技術です。

2021年のGoogle I/Oのキーノート。グーグルがクルマ向けのデジタルキーに2021年秋から参入するという発表もありました(クリックで再生)

 自然言語処理は車載情報機器でもおなじみですね。以前は決まったコマンドで話しかけないと認識できなかったシステムが、ある程度長い文章や人によって少し異なる表現でも内容を理解できるAI(人工知能)アシスタントになっています。「暑い」と言えば「エアコンの温度を下げましょうか」と言い、「お腹がすいた」と伝えれば近くの飲食店を探します。「今日の天気は」と聞けば気温が何度で、雲行きがどうかを答えるでしょう。

 しかし、天気について尋ねられたときに、人間であれば「もう夏みたいに暑い」とか「外で過ごしたい天気だ」と答えるかもしれません。お腹がすいたと言われたときは「冷蔵庫に何か食材はあったよ」とか「スーパーで何か買って帰る?」という返事もあり得ます。そこからさらに会話が続くでしょう。LaMDAはそういった人間らしい受け答えを実現する技術です。

冥王星が質問に答える!?

 キーノートでは、冥王星が人間のように質問に答えていました。「冥王星に行ったらどこにいくべき?」「大きな渓谷や氷山、間欠泉、クレーターなんかがあるよ」とか、「誰か来たことがある?」「ニューホライズンという無人探査機が来たね」と会話するのです。LaMDAは何百万という冥王星に関する情報を学習した上で、質問に対して同じ話を繰り返さないよう常にたくさんの候補から回答となる情報を探します。

 LaMDAが有効なのはもちろん冥王星のことだけではありません。どんなトピックに関する会話でも開発できます。キーノートでは紙飛行機と会話するデモも披露しました。「着陸した最悪な場所はどこ?」などという難しい質問にも答えますし、「いい紙飛行機の秘訣ってなに?」と聞くと「いい紙飛行機にはいろいろあって、遠くまで飛ぶのがいいという意見もあるし、真っ直ぐ飛ぶことが大事だという意見もあるけど、あなたにとっていい紙飛行機は?」と確認の質問を返し、会話を続けます。

 “私”というトピックについて学習したLaMDAがクルマにいたら、「お腹がすいた」という発言に対して近くの飲食店をとりあえず勧めるということはないだろうなと想像したくなりますね。“私”がダイエット中なのを知っていれば「この辺りにヘルシーな食事ができるお店はありません、家まで我慢しましょう」と返事するかもしれません。

 グーグルの将来に向けた技術開発が、OSの「Android」を通じて自動車にも地続きであると考えると、この新技術はとても興味深く思います。グーグルは、Androidの最新版の方針について、よりパーソナライズできることや、プライバシーとセキュリティの向上、デバイス同士がより連携することを掲げています。グーグルがいうデバイスには「Android Auto」を搭載した自動車も含まれています。Android Autoが使用可能な自動車は1億台を超えているのだとか。LaMDAはまだ研究の初期段階であるようですが、Googleアシスタントなどへの搭載に向けて、公平さや正確さ、安全、プライバシー保護など高い水準を守って開発するとしています。

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