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» 2021年05月22日 08時00分 公開

人間らしく会話を続けるGoogleのLaMDA、自動車で使える日が待ち遠しい自動車業界の1週間を振り返る(2/3 ページ)

[齊藤由希,MONOist]

GAFAの得意分野は任せちゃう? 自動車業界での開発にこだわる?

 車載情報機器は全てグーグルに任せるべき、などという乱暴な主張をするつもりはありません。例えば、「ハーイ、メルセデス」に対応した「MBUX(メルセデスベンツユーザーエクスペリエンス)」を日本に初導入したとき、ダイムラーの開発担当者は「MBUXにグーグルやAmazon(アマゾン)が手掛ける音声アシスタントを使わなかったのは、車載情報機器の画面のことだけでなく車両全体を包括的に扱い、車内での特別な経験を運転中の人間工学的に正しく提供できる機能を搭載するためだ」と説明していました。自動車メーカーが作ったアシスタントとグーグルなりアマゾンなりの音声アシスタントの2人が共存し、うまく譲り合ったり協力したりできると良いのですが。

 MBUXは、Harman International(ハーマン)や自動車向けの音声認識技術に強いNuance Communications(ニュアンス)といったサプライヤーと共同開発したシステムです。「車両全体を包括的に扱う」という意味では、グーグルよりもハーマンやニュアンスの方が詳しいことも多いでしょう。しかし、Google I/Oを見ているとグーグルの得意分野が実に幅広いことも改めて実感します。スマートフォンなどのOSやアプリケーションをアップデートし続けること、つまり自動車業界が最近言い始めた「ソフトウェアファースト」は、いうまでもなくグーグルのホームグラウンドです。

 自動車業界のサプライヤーと、グーグルのようなテック企業、あるいはスマートフォンのような早いサイクルでのアップデートに慣れている企業では、当たり前ですが得意分野は全く違いますよね。FCAとグループPSAが合併したStellantis(ステランティス)は車載情報機器関連で新たな会社を設立しますが、合弁相手はFCAやグループPSAと付き合いが長いであろう、フォルシアやマレリではありません。Foxconn(フォックスコン)でした。

 いわゆるGAFAにイニシアチブを取られまいとする自動車業界の姿勢を否定するつもりはありませんが、GAFAの背中を追いかけ続けても仕方のない分野も中にはあると、Google I/Oを見ていて思いました。GAFAのサービスや技術の劣化版が実用化されても自動車ユーザーは喜びません。しかし、「それならソフトウェアファーストは得意な会社に任せておけばいい」と考えるべきではありません。伝統的な自動車関連企業だからこそできることを探し続け、自動車業界なりにソフトウェアファーストに向き合わなければなりません。

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