レーザー加工の高速性と高品質、立ち上げ調整の簡略化を実現する制御ユニットFAニュース

オムロンは2021年5月20日、レーザー加工の高速性と高品質を両立させるガルバノレーザー用インタフェースユニット「CK3W-GC」を同年5月24日にグローバルで発売すると発表した。

» 2021年05月21日 07時00分 公開
[MONOist]

 オムロンは2021年5月20日、レーザー加工の高速性と高品質を両立させるガルバノレーザー用インタフェースユニット「CK3W-GC」を同年5月24日にグローバルで発売すると発表した。

photo CKシリーズ用レーザーインタフェースユニット「CK3W-GC」(黄色部分)。CPUユニットや電源ユニットなどと組み合わせて使う(クリックで拡大)出典:オムロン

 ガルバノレーザーは、磁界中コイルを電気的に制御する仕組みを応用し電流によって鏡の反射角を制御するガルバノ機構を使用し、加工用レーザーの制御を行う技術である。通常のレーザー加工と比べ、高速で高精度であることが特徴で、半導体製造装置やモーター溶接、剥離装置などで活用されている。

 新製品は、このガルバノレーザー機構を活用したレーザー加工機の高速性と高品質、スループットを向上させる制御拡張ユニットである。高速高精度なプログラマブル多軸モーションコントローラー「CK3M」シリーズなどと組み合わせて使う。

 レーザーのON/OFFタイミングを従来の時間式で制御するのではなく、移動距離で制御するTCR技術(Trigger output by Commanded distance for Rapid processing)を採用し、高速動作時でもずれなく高い精度と同期作業が可能となる。

 従来のレーザー加工機では、設置後、これらのずれを抑えるために、何度も調整加工を行い、設定を追い込んでいく必要があった。これらの作業は3〜4週間かかるケースも多かったという。しかし、この新技術により、距離を明確に数値で設定できるようになるため、レーザーのON/OFFタイミングの設定や調整も2〜3日程度に簡単化できる。熟練者でないエンジニアでも短時間で装置立ち上げが可能で、大幅に作業時間の短縮が行える。

 さらに、CKシリーズでは、ユニットを拡張することにで、最大8製品の同時加工を可能とする。従来モデルでは、最大で2製品の加工だったため、スループットを従来製品比で最大4倍に向上する。

 顧客ターゲットはレーザー加工機メーカーで、高精細化が進むウェアラブルデバイスなどの先進表示デバイスの加工(剥離やリペア)、高品質化が求められるEV用モータコイルの非接触溶接などで使用するレーザー加工機向けを想定している。販売台数は2年間で2000台を目標としている。

 オムロンでは、2015年7月に米国のモーション制御機器メーカーである「デルタ タウ データ システムズ(Delta Tau Data Systems、以下、デルタ タウ)」を買収し、高速モーション制御領域を強化。今回の新製品である「CKシリーズ」もデルタ タウがもともと持っていたモーション制御のラインアップを拡張したものとなる。

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