日立パワーデバイスは、Fin状トレンチ型SiC-MOSFET「TED-MOS」を製品化した。2021年3月よりサンプル出荷を開始する。デバイス設計の自由度が向上したほか、耐久性と低消費電力を両立した。
日立パワーデバイスは2021年1月26日、Fin(ひれ)状トレンチ型SiC-MOSFET「TED-MOS」を製品化し、同年3月よりサンプル出荷を開始すると発表した。
同製品は、トレンチにFinを形成し、Finの側壁を電流経路とする構造を採用。耐久性と低消費電力特性を両立するため、電流が集中するデバイス中央部に電圧のかかり方を緩める「電界緩和層」を形成し、電界強度を低減した。また、デバイス中央部の抵抗を低減する「電流拡散層」を形成し、Fin状トレンチの側面につながる電流経路とするデバイス構造を採用している。
短絡耐量と抵抗を独立して最適化できる手法の採用により、セルピッチの縮小と最も低抵抗な電流経路の最適化設計を可能にした。これにより、短絡耐量の20%向上、抵抗の40%低減が可能になった。
デバイス中央部の「n-JFET」と呼ばれる部分とトレンチ部分をそれぞれ独立して設計できるため、デバイス設計の自由度が向上した。電圧は1.2kV、電流は35A以上となっている。
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