パナソニック システムソリューションズ ジャパン(PSSJ)がデジタルサイネージソリューション「AcroSign(アクロサイン)」の新バージョン「AcroSign Version 3.0」の開発と販売開始を発表。パナソニックが得意とするプロジェクターを用いた空間演出が可能になり、IoT(モノのインターネット)センサーなどとの連動も行えるという。
パナソニック システムソリューションズ ジャパン(以下、PSSJ)は2021年1月25日、オンラインで会見を開き、デジタルサイネージソリューション「AcroSign(アクロサイン)」の新バージョンとなる「AcroSign Version 3.0(以下、AcroSign 3.0)」の開発と販売開始を発表した。パナソニックが得意とするプロジェクターを用いた空間演出が可能になり、IoT(モノのインターネット)センサーなどとの連動も行えるという。AcroSign 3.0の投入により、PSSJのデジタルサイネージ事業として年間100億円弱の売上高を目指す。
AcroSign 3.0の最大の特徴は、複数の機器を用いた同期再生を得意とする米国BrightSignのコントローラーに対応したことだ。これまでのAcroSignのコントローラーはWindowsベースだったが、複数台のデジタルサイネージを同期再生する際に0.3〜0.4秒のずれが発生するという課題があった。PSSJ サービスインテグレーション本部 コンテンツ・ メディアサービス部 部長 兼 エバンジェリスト(エンターテインメントテーマ)の佐村智幸氏は「従来の16:9のディスプレイを使ったデジタルサイネージであれば、Windowsベースのコントローラーでもよかったが、異なる映像を同期再生することでプロジェクションマッピングのように空間演出を行うにはこのずれが大きな課題になる。そこで、ハードウェアベースの同期再生によってずれを2フレーム以内に収めるとともに、グローバルのデジタルサイネージ市場で高いシェアを持ちコスト面でもメリットのあるBrightSignのコントローラーを採用することを決めた」と語る。
また、BrightSignのコントローラーの採用により、表示映像に別の映像や文字をリアルタイムに合成するため同期再生性能が重要になる「クロマキー合成」も簡単に行えるようになった。クロマキー合成の活用事例としては、天気や紫外線指数などのビッグデータを利用して、時間帯やデジタルサイネージのある場所、視聴者の属性に合わせた情報の動的合成や、IoTセンサーやカメラから得た混雑情報の差し込み、メニューの売り切れ情報などを挙げた。「コンテンツを切り替える際の演出効果や、双方向コミュニケーションが可能なサイネージへのPinP(ピクチャーインピクチャー)によるアバター表示などにも利用できる」(佐村氏)という。
パナソニックのデジタルサイネージ事業は、2003〜2016年に「NMstage」というブランド名でシステム販売を中心に行っていたが、2016年からはコンテンツや運用なども含めたトータルソリューション事業に移行し、ブランド名も「AcroSign」に変更している。
佐村氏は「デジタルサイネージや映像ソリューションの市場は2019年まで右肩上がりで拡大してきたが、コロナ禍によって2020年は大きく落ち込んだ。パナソニックとしては、デジタルサイネージもニューノーマルに対応する必要があると考えており、それによってデジタルサイネージ市場を再び拡大させられるはずだ」と強調する。
ニューノーマルに対応したデジタルサイネージソリューションの方向性としては、「非対面接客や混雑緩和」への対応、「リモート」で空間をつないで広げる、「空間演出」で広告効率とユーザー体験を高めるなどを挙げた。今回発表したAcroSign 3.0は、コロナ禍で求められている「非対面接客や混雑緩和」や、新たな価値を持つデジタルサイネージとなる「空間演出」を実現するものだ。今後は、AcroSign 3.0を連携することで、分散した空間をつなげたり、リモート空間を連携したりといった用途への展開を進めていくとしている。
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